現役ドラフト、巨人「オコエ獲得」は本当にプラスか? 中日は“待望の大砲候補”を獲得成功

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“交換要員”

 12月9日に初めて行われた「現役ドラフト」。12人の選手の移籍が決まったが、果たして補強ポイントにマッチした選手を獲得できた球団はどこだったのか。また、移籍をきっかけにブレイクが期待できそうな選手はいたのか…チーム事情などから探ってみたい。【西尾典文/野球ライター】

 まず12人の中で最も話題となっているのは、やはりオコエ瑠偉(楽天→巨人)になるだろう。2015年のドラフト1位でプロ入りし将来の中軸候補として期待は大きかったものの、度重なる故障に苦しんだ。プレー以外での言動や行動が注目されることが多く、これまでもトレードの噂が絶えなかっただけに今回の移籍は必然だったという声も多い。

「一昨年オフの契約更改では、石井一久GM(当時、現監督)から最後通告とも言えるコメントがありましたが、その後の2年間も結果を残せず、楽天としては見切りをつけたということでしょう。楽天のチーム事情を考えると、パンチ力のある右打者は必要で、同じ右打ちの外野手である正隨優弥(前広島)を指名しているのを見ても、そのことがよく分かります。それでもオコエを放出したというのは、よほどオコエを出したかったのでしょう。普通のトレードであれば、なかなか他球団が手を挙げなくても、必ず1球団1人以上は移籍するルールになっている『現役ドラフト』では“交換要員”になる。オコエが出て正隨が入ることで戦力アップになるかは微妙なところですが、制度を上手く利用したな、という印象は受けました」(在京スポーツ紙記者)

キャンプから相当なアピールが必要

 グラウンド外で何かと話題となる選手は、トレードも決まりづらいと言われる。そういう意味では、今回の制度に最もマッチした選手がオコエだったと言えそうだ。

 では、そのオコエを獲得した巨人にとってのプラスになるだろうか。前出の記者は以下のように続ける。

「巨人は右打ちの外野手が不足しています。ドラフトでは、浅野翔吾(高松商)と萩尾匡也(慶応大)を指名しましたが、2人とも即戦力というよりも、数年後に中軸候補になってくれればという選手です。それを考えれば、オコエの獲得はプラスではないでしょうか。ただ、注目度の高い球団だけに、何かあればこれまで以上に強烈に批判されることは、間違いありません。他にも実績のある選手は多いですし、巨人は戦力が不足していると判断すれば、どんどん補強する球団です。一軍定着には、キャンプから相当なアピールが必要だと思いますね」

 こうしてみると、オコエを放出した楽天、獲得した巨人、どちらも手放しで喜べるほどのプラスではないというのが正直なところではないだろうか。

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