「新庄剛志監督」編成への介入で…日本ハムは来季も“不安材料”が山積み

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監督の意向が強く反映

 過去にメジャーを経験して“逆輸入”という形でドラフト指名を受けた選手はマック鈴木(2002年オリックス2巡目)、マイケル中村(04年日本ハム4巡目)、多田野数人(07年日本ハム大学生・社会人ドラフト1巡目)がいるが、彼ら3人と比べて、加藤の実績は乏しい。

 また、この3人の中でも大きな戦力となったのはマイケルだけで、そのマイケルも主力として十分な活躍を見せたのは3年間だけだった。こういった背景を考えても、加藤に対して過剰な期待をかけるのは“危険”と言えるだろう。

 そして、それ以上に気になるのが、新庄監督の編成への介入だ。加藤の指名に対しても新庄監督の要望があったと言われており、またドラフト会議後には「来年、勝負をかけている年なので、すぐに戦力となる選手を獲りたいとわがままを言わせてもらいました」と話していることからも、監督の意向が強く反映された指名だったことは間違いないだろう。

 ただ、日本ハムは、昨年は伊藤大海、今年は北山亘基と上川畑大悟が即戦力として活躍していながら苦しい結果に終わっており、ルーキーにそれを求めるのは酷である。日本ハムのスカウティングの変化については他球団も感じているところがあったようだ。

「即戦力が欲しかった」という印象

「以前までの日本ハムならチームの成績が低迷している年でも、浅野翔吾(高松商、巨人1位)や斉藤優汰(苫小牧中央、広島1位)のようなスケールのある高校生を狙ったと思います。実際、昨年も達孝太を1位指名していますからね。ましてや今年の高校生投手で、最初に指名された斉藤と2番目に指名された門別啓人(東海大札幌、阪神2位)はいずれも北海道の選手で、それを見送って大学生を上位で2人揃えたというのは、よほど即戦力が欲しかったんだなという印象です。清宮幸太郎や吉田輝星が期待通りに主力になっていないということもあるのかもしれませんね」(前出のセ・リーグ球団スカウト)

 日本ハムは「スカウティングと育成で勝つ」という方針を掲げており、主力選手の多くがポスティングシステムやFAで移籍しても常に上位を争ってきた。その裏には、強力なフロント主導のチーム編成が影響していた。

 ところが、昨年オフに新庄監督が就任してからは、現場の声が強く反映された編成に見えるのは確かである。果たして「日本一だけを目指す」と宣言した新庄監督の“意向通り”の編成で本当にチームは強さを取り戻すことができるのだろうか。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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