「特殊詐欺」最新事情 高度な分業化、高速道路を走行中にサギ電話、現役警官も加担で再び増加

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「本物の警察官」が特殊詐欺に加担したケースも

 一方で、ターゲットとなる高齢者の個人情報も様々なやり口で吸い取られている。

「特殊詐欺の場合、かけ子の電話が“刺さらない”と受け子は仕事がありません。そういう時に指示役は、受け子に地元の警察署を名乗らせて、名簿にある高齢者宅を訪問させる。防犯アンケートを装って家族構成などを書かせ、それをリスト化して組織に戻す。こうして精度の高いデータを得ることを“洗う”と呼びます。そして、洗ってあるデータが高額で売買される実態もあるんです」

 特殊詐欺という枠にとどまらず、組織だった集団によりあらゆる手段で金を奪い取る犯罪は絶えない。

「時には、偽の警察官を登場させることもあります。強盗に入った後、被害者宅に偽の警察官役を向かわせて被害届を書かせて、通報を遅らせるんです。そういった犯罪グループに、本物の警察官が加担していたこともあります。先日は、本物のJA職員が、JA職員を騙って詐欺を働いた事案も取材しました。実際の職業もJA職員なので、もう何を信じていいか分からない状態です」

 騙された高齢者が最大の被害者なのは言うまでもないが、騙す犯人の多くも人生を棒に振ることになる。

高橋ユキ(たかはし・ゆき)
ノンフィクションライター。福岡県出身。2006年『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』でデビュー。裁判傍聴を中心に事件記事を執筆。著書に『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』『木嶋佳苗劇場』(共著)、『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』、『逃げるが勝ち 脱走犯たちの告白』など。

デイリー新潮編集部

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