納骨堂の役員が行方不明で遺骨千体が“置き去り”に 競売で落札した不動産会社に納骨堂の運営はできず

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 自宅から近くて風雨を気にせずお参りができる。昔からある寺院の墓に代わって増えているのがビル型の納骨堂である。ところが、その納骨堂のビルが人手に渡り、経営する宗教法人の代表役員が行方不明になってしまうという事件が起きている。置き去りにされたのは約千体の遺骨と、檀家たちだ。

 問題の納骨堂は札幌市東区にある「御霊(みたま)堂元町」。2012年にオープンし、納骨壇は1区画30万~250万円、年間6千~1万2千円の管理費で〈雨の日でも雪の日でも、快適にお参り〉できるのが売りだ。経営するのは宗教法人の白鳳寺である。ところが、そのビルが競売に掛けられ不動産会社に所有が移ったのは今年9月のこと。

代表と音信不通に

 宗教ジャーナリストの小川寛大氏が説明する。

「もともとこの納骨堂は札幌市内の葬儀会社がスポンサーになって始めたもので、経営する白鳳寺も頻繁に代表が替わり、実態が見えません。ビル型の納骨堂は檀家が減っている寺院にとって簡単に儲かることから一時大繁盛した時期があり、白鳳寺も追随したのでしょう。しかし、最近は利用者による納骨堂の選別が始まっており、永代供養料とわずかな管理費だけでは、経営が苦しくなっていたのでは」

 で、札幌市が競売のことを知ったのは所有者が移る2カ月ほど前。慌てて白鳳寺代表の太田司氏に連絡を取ったところ、「競売取り下げを含めて検討する」と説明されたが、10月25日ごろから音信不通となる。

「太田さんとは今も連絡が取れていないため、遺族の方々も建物の中に入れません。現在、立ち入りができるよう札幌地裁に仮処分の申し立てをしており、11月21日には決定が出る予定です。しかし、中に入れたとしても市が寺に代わってお骨の管理ができるわけではありません」(札幌市生活環境課の小山内康徳課長)

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