ツイッター社大量解雇で揶揄の声も 「ジェフガ―」「U.S.ガ―」「英語の資料は?」外資系企業日本法人社員の哀しき“しぐさ”

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 ツイッター社がイーロン・マスク氏に買収され、約7500人の従業員の内、約3700人が解雇されたと報じられた。日本でも広報部門が全員解雇されたと報じられたが、そんな中、妙な余波があった。ツイッター日本法人の従業員および元従業員に対する批判が、ネットで発生したのである。【中川淳一郎/ネットニュース編集者】

昼から酒を

 基本的にはツイッターの従業員のツイートを見つけ出し、同僚(元同僚)とのやり取りを晒し、嘲笑するものである。また、過去にテレビ番組が同社を訪れた時、従業員が笑顔で冗談を言っているような場面の画面キャプチャーを貼りつけ、「大学のサークル的雰囲気」を強調した。そうしたことから醸成された人々の気持ちの総体としてはこんな感じである。

「ラクな仕事で高給取りだった『上級国民』が引きずり降ろされてざまぁ」

 前日は昼から酒を飲んでいたことをツイートする従業員や、「ざまぁ」的に言われていることに対してキレる従業員に「ツイッター社のヤツが実はツイッターの使い方が下手だった」と書くなどする。さらには、共通のハッシュタグを駆使し、「最高の仲間との時間は素晴らしかった」的な振り返りをする青春群像に対しても揶揄の言葉を投げかけるなどした。

 とはいっても、外資系企業と一緒に多数の仕事をしたり、多くの知り合いが勤務したことを知っている私からすれば、別にツイッター社を含めた外資系企業は決して超高給取りばかりというわけではないと感じる。さらに、そこまでキラキラしていない。本稿では、彼らの持つ若干悲哀に満ちた側面について書いてみる。もちろん、超実力主義の金融機関やコンサルティングファームであれば、ケタの違う「上級国民」っぷりになるものの、それほどエラくない日本人社員は案外泥臭いところがある。

英語の資料もつけてもらってますよね?

 というのも、本社が日本支社よりも圧倒的にエラいケースが多々あるのだ。日本独自のやり方を許す本社は時々あるものの、外資系企業の日本人社員はとにかく「決められない」と感じることが多かった。広告キャンペーンやイベント、記者会見の実施にあたっては、日本法人のオフィスで打ち合わせをするが、何しろその場で決まらないのである!

 これらの会議は「決めるための会議」ではなく、我々発注先にとっては「決めてもらうための企画内容説明会」であり、その企業にとっては「本社にうまく説明するための質問タイム・本社の意向伝えタイム」なのだ。たとえば、どこの会場にするか、といった案を出す時に「ハイクラスのホテルがいい」という本社の意向に従い、帝国ホテル、ウエスティンホテル、ホテルオークラを企画書には明記する。日系企業の場合、そこに広報部長でもいれば「ウエスティン→オークラ→帝国の順番で打診してください」などと案外すぐに決まる。

 だが、外資だとここからが長いのだ。この3つのホテルの特徴と何が優れ、どんなデメリットがあるのかを細かく解説する必要がある。というのも、彼らは納得しないものにはお金を払わない。日本法人社員も、そこが分かっているため詳しい説明を我々に求める。そして「これ、この場で決められませんかね? もう時間あんまりないんですよ」などと言おうものなら、伝家の宝刀を抜いてくる。それは「U.S.ガー!」というものだ。要するに「本社の意向を聞かなくては私はあなたに指示を出せない」ということである。そして、付け加えるのが「英語の資料もつけてもらってますよね?」だ。

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