大迫勇也と原口元気はなぜW杯メンバーに選ばれなかったのか

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 カタールW杯に臨む日本代表26名が11月1日に発表された。壇上の中央に座った森保一監督は、いくぶん緊張した面持ちから「GK川島永嗣」と名前を読み上げ始めた。

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 GK3人の紹介が終わると、いつもは「DF~」と続くのが「フィールドプレーヤー」と前置きしてから「長友佑都、吉田麻也、酒井宏樹」と続けていく。

 異変に気付いたのはDFの後、柴崎岳や遠藤航といったボランチの選手に続き、12番目に浅野拓磨の名前が読み上げられた時だった。これまでのように「ポジション別」ではなく「年齢順」なのだ。

 過去のメンバー発表では、一番最後に名前を読み上げられる選手がサプライズ選出とされてきた。06年ドイツW杯ではFW巻誠一郎が、まさしくサプライズとしてメンバー入りした。

 そうした“慣例”を森保監督は嫌ったのか、「ポジション別」ではなく「年齢順」の発表にした。そのことに気付いた記者は他にもいたようで、浅野に続き南野拓実、守田英正の名前が読み上げられたことで、原口元気と大迫勇也の落選をこの時点で確信した。

 正直なところ、2人の落選は意外だった。というのも、原口は攻守にハードワークができ、サイドFWやMF、ボランチと複数のポジションでプレーできる。前回ロシア大会のベルギー戦では鮮やかな先制点を決めるなど、日本代表では11ゴールをマークしていた。

飽和状態のサイドアタッカー

 大迫については、いまさら説明も不要だろう。彼ら2人よりも当落のボーダーライン上にいるのは、クラシカルなスタイルのゲームメーカー・柴崎岳であり、左FWやトップ下で起用されてもかつての輝きを取り戻せず、なかなか結果を残せない南野拓実だと思っていた。

 なぜ彼らではなく、原口であり大迫だったのか? それぞれ個別の理由があると思われているので、まずは原口から検証してみよう。

 彼の主戦場であるサイドアタッカーには、アジア最終予選で日本の救世主となったスピードスターの伊東純也が右サイドにいる。さらに、フライブルクで好調を維持しているレフティの堂安律が控え(?)にいる。

 左サイドに目を向けても、レアル・ソシエダで復活しつつある久保建英がいて、ジョーカーにはドリブラーの三笘薫がいる。さらに、9月のドイツ遠征で直接FKを決めた相馬勇紀も滑り込みでメンバーに加わった。これまでの例で言うなら、彼こそ「サプライズ選出」ということになるだろう。

 通常、W杯のメンバーは、1つのポジションに2人の選手をセレクトするのがセオリーと言われている。すでにこの時点で森保ジャパンのサイドアタッカーは飽和状態なのだ。さらに付け加えると、前田大然や浅野拓磨ら俊足FWも本来はサイドの選手である。

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