巨人「人的補償逃れ」のワル知恵は無駄骨? “坂本問題”の影、FA戦線は苦戦予想

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「江川事件」にも通底

 しかし、育成選手の使い方が本来の趣旨とは全く異なる。人的補償逃れの隠れ蓑ではないはずだ。

「巨人が大量の自由契約選手を発表したのは日本シリーズの真っ最中だった。球界最高のイベントの陰であえて目立たないようにした意図が感じられる。ハレーションを最小限に抑え、このまま押し切ろうという魂胆も窺える。10月17日にはオリックスがトミー・ジョン手術を受けたばかりのドラ1位の新人の椋木(蓮投手)を育成契約にする方針を発表した。他球団でも疑惑の契約が出た後で、巨人が自らの処置を正当化しようとしているようにも見える」(同)

 今年はペナントレースで、夏場に新型コロナウイルスによる大量の感染者を出したヤクルトが試合を強行され、大型連敗を喫した。対照的に巨人は試合が中止となり、態勢を整える猶予を与えられた。この時も両チームの扱いの不公平感に反発が相次いでいる。「ルールの盲点を突くのは江川事件からの巨人の十八番。法や規則に抵触しなければ許されるとのスタンスは(今夏に起きた)坂本の女性スキャンダルにも通じるものがある」(遊軍記者)

 それにしても、巨人がここまで周到に備えるからにはFA選手、それも人的補償が発生するA、B両ランクの選手獲得に目星が付いているということか。10月20日のドラフト会議で1位指名した高松商高の浅野翔吾外野手も即戦力ではない高校生だけに、これも巨人にFA戦線で勝算があるとの論拠になっている一方で、今オフのFA市場での巨人の苦戦を予想する声は少なくない。

「阪神の西はオリックス時代に(新監督の)岡田(彰布)監督と確執があったが、岡田監督は不可欠の戦力だとフロントに残留を熱望している。そもそも巨人と阪神の間でのFA移籍は避けるとの不文律に近いものが存在してきたから一筋縄ではいかない。(大阪桐蔭高出身の)西武・森は地元が本拠地で、少年時代にジュニアチームに所属していたオリックス移籍説が根強い。浅村には楽天残留の可能性が消えない。巨人が圧倒的優勢になっていないのは、一昔前と違って他球団の選手を惹き付ける巨人のブランド力が落ちていることも大きいだろう」(前出のパ球団編成担当)

 FA選手獲得がゼロに終われば、人的補償を逃れようと画策した悪印象だけが残り、策士策に溺れるとなりかねない。

デイリー新潮編集部

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