帝劇、国立劇場の建て替えで、人気の「ジャニーズ公演」はどうなる? 代替施設の“争奪戦”が

エンタメ

  • ブックマーク

Advertisement

 かの帝国劇場が2025年から一時閉館となることが発表された。東京・丸の内周辺の再開発に伴うもので、新築される高層ビル内にて時期未定ながら再オープンする運びだという。

 演劇記者が解説する。

「帝劇といえば歌舞伎座と並ぶ、演劇界の歴史あるアイコンです。1911年に日本初の洋式大劇場として開館。関東大震災で被災し、戦時中は内閣情報部に接収され、戦後の一時期は映画館として使われるなどの変遷を経てきた。現在の建物は66年竣工の2代目で、約2千人の収容人員は当時、国内最大規模でした」

 昨年他界した二代目中村吉右衛門が襲名披露を行い、60年代のミュージカル草創期には森繁久彌主演「屋根の上のヴァイオリン弾き」が上演された。松本白鸚の代名詞ともいうべき69年初演「ラ・マンチャの男」のほか、80年代からの「レ・ミゼラブル」「ミス・サイゴン」など大型作品のロングランも数多い。

「2000年代以降は堂本光一主演による『Endless SHOCK-Eternal』などジャニーズ事務所のアイドルが主役を張る舞台を次々と上演、若い女性ファンを集めました。最近は人気ミュージカルとジャニーズの公演が月替わりで行われ、チケットはいつもほぼ完売状態。日本一の集客力を誇りますね」(同)

せっかくの観客を逃がしてしまう

 しかし、建物が築50年を超えて老朽化が進み、隣接するビルとともに生まれ変わることになったのだ。

「一時閉館後、帝劇で定番となっていた作品は再オープンするまでの数年間、他の劇場を借りての上演となります。代替候補として渋谷ヒカリエ内の東急シアターオーブ、池袋のブリリアホール、有楽町の東京国際フォーラムホールCなどの名前が挙がっています」

 だが、そこに問題も。

「帝劇の公演はどれもほぼ満席の観客動員が見込めるという点こそ、じつは悩みのタネなんです。帝劇と同じ約2千人収容のシアターオーブが使えるならともかく、ブリリアホールの定員は1300人、国際フォーラムホールCは1500人ほどで、帝劇と比べて3割がた少ない。その分、公演回数を増やせればいいのですが、人気のある演者は簡単にスケジュールを押さえられない。結果、せっかくの観客を逃がす可能性があるわけです」

次ページ:代替地の“争奪戦”

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。