「ちむどんどん」はなぜあんなに視聴者をイラつかせた? 専門家は「シナリオ学校なら0点」

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朝ドラ廃止作戦

「僕も最終回は口が半分開いた状態で見ていました」

 とは、同志社女子大学学芸学部メディア創造学科の影山貴彦教授。教授はMBSの元プロデューサーだ。

「だからテレビ愛は人一倍強いんですが、それでもあのストーリーと人物造形には仰天の連続でした。暢子が上京して働き口がなく途方に暮れていると三線が聞こえ、そこに行くと沖縄出身者がいて就職が決まるといったシーンがあるように、このドラマの主人公は何でも偶然が幸運につながる。一方で大事なことは誰にも相談せずに決め、周りを振り回し続ける。これでは共感は呼べません」

 ネット上で批判が渦巻いたのも当然なのだが、視聴者をイラつかせたのは、ドラマの中身だけではない。

 例えば、9月の記者会見でNHKのメディア総局長は「(批判的なものを含め)ご意見全てがエール」と発言していたが、

「不適切でしたよね」

 と影山氏が続ける。

「視聴者にとっては思いを受け止めてもらえず、肩透かしを食った感じがしたのでは。こうした対応がまたネットでの炎上を生み、さらなる騒ぎを招いてしまったような気がします」

 最終回後も、プロデューサーが「(ドラマが)皆さまの心のどこかに残ることを願ってます」とコメントを出し、これもまた炎上の“伏線”となる始末……。

 これらについてNHKの見解を聞くと、

「お寄せいただいたご意見は、ありがたく受け止めております」

 と言うが、

「あらゆる対応も含め、NHKが朝ドラを廃止するための深遠な作戦かと思いました」(今井氏)

 そんな“疑惑”さえ生み出した「迷作」ドラマ。

 半年間、毎朝視聴者を異世界へとワープさせてくれたことに感謝したい。

週刊新潮 2022年10月13日号掲載

ワイド特集「ゲームの幕引き」より

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