甲子園で大阪桐蔭を破った「下関国際高校」が赤字「2000万円」の大ピンチ! クラファンで「二度目の奇跡」は起こせるか

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 夏の全国高校野球で「絶対王者」大阪桐蔭や近江(滋賀)といった強豪校を破り、“奇跡の快進撃”を見せた山口県の下関国際高校がピンチに立たされている。甲子園での応援にかかった経費が想定を大きく上回り、ついにはクラウドファンディングで支援を呼びかける事態へと陥っているのだ。

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 決勝戦で仙台育英に敗れはしたものの、創部以来初となる「準優勝」の偉業を成し遂げた下関国際高校野球部。ダークホースどころか、誰も決勝に上がってくるなど予想もしていなかった“番狂わせ”の連続に甲子園は熱狂に包まれた。しかし「快挙」にオドロキは付きもので、かかった費用も想定外だったという。

「最終的に夏の甲子園関連の経費は約4500万円にのぼりました。何とか2500万円程度は工面できるメドは立ちましたが、どうしても2000万円ほど不足する計算になる。そのため、恥ずかしながら9月16日にクラウドファンディングを立ち上げ、皆様に広く支援のお願いをすることにいたしました」

 こう話すのは、下関国際高校の上田晃久校長である。募集期間は10月31日までだが、現時点(10月9日)で集まったのは900万円弱と、いまだ目標額の半分にも達していない。

 同校は昨年春の甲子園では1回戦敗退。18年夏は準々決勝まで進んだが、同年春とその前年夏はともに2回戦で敗れている。その名が全国に知れ渡ったのは今夏が初めてという、高校野球界に突如現れた“新星校”だ。

移動にバスをフル活用

「大会前、ベスト8に進んだ4年前の経費を参考に、今回は“準々決勝突破”の可能性も考慮して3500万円程度の予算を組むつもりでした。7月29日の理事会でそのための寄付を募ることを決定し、当校OBや地域の皆様にお声掛けしましたが、8月末までに集まった額は1700万円にとどまりました」(上田校長)

 地元・下関市からの報奨金や補助金などを加味しても計2500万円程度しか賄えないことが判明。このたびの異例の“クラファン”活用へと思い至ったという。

「創立58年の本校の全生徒数は約300名で、もともと野球の名門校でもありません。当然、強豪校のように甲子園出場に際してOBらを中心とした支援ネットワークも整備されていない。それでも前回大会までは寄付金などを募って何とか工面することができましたが、決勝まで進んだ今回は完全に想定をオーバーしました」(上田校長)

 支出でもっとも大きな部分を占めたのが移動費という。

「基本的に選手や応援団の移動はバスでした。バスを1台、貸切ると数十万円の出費となりますが、コロナ対策の観点からもギュウギュウ詰めで乗せるわけにいきません。野球部の登録メンバーは大阪で20泊以上しましたが、それ以外の部員は試合が終わるごとに一旦帰る態勢を取るなど、ピストン輸送を繰り返さざるを得ない面もありました」(上田校長)

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