統一教会 文鮮明7男は母親の韓鶴子を「魔女のような詐欺女」…理想の家庭とはほど遠い「文ファミリー」大分裂

国内 社会

  • ブックマーク

Advertisement

文鮮明を崇拝するのは分派のほう?

「後継者争いの核心部分は、アメリカの訴訟等では財産や利権争いなのですが、信仰上の対立もあります。文鮮明の死から2年後の2014年、韓氏は自身を“無原罪独生女(ドクセンニョ)”と宣言する説法を行いました。さらに、韓国の統一教会の本拠地である清平(チョンピョン)に巨大な韓氏の石像も建てられた。2つの分派は、こうした点でも韓氏や現在の教団に反発しています」(鈴木氏)

 もともと統一教会の教えでは、文鮮明こそが原罪のないメシアとされてきた。にもかかわらず、韓鶴子が文鮮明を差し置いて自らを神格化しようとしているというのだ。

 実際、亨進は、今年6月に都内で開催した来日講演で、こんな言葉で韓を激しく罵っている。

「魔女のような詐欺女! 韓鶴子バビロン。アボニム(父・文鮮明のこと)の敵たち!」

 この講演会場には統一教会本家の信者たちが潜り込んでおり、「お母様(韓鶴子氏)を悪く言うな!」などと大声で騒ぎ立て、スタッフによって会場の外につまみ出されていた。

「文鮮明色を薄め自らを神格化するかのような韓氏に対しては、分派だけではなく統一教会本家の中にも不満や不信感を抱いている信者がいるほど。教団を離れるほどではないにせよ、渋々従っている状態ではないでしょうか」(鈴木氏)

 とはいえ、80年代から日本で社会問題化した霊感商法も、2007年に関連業者の刑事摘発を受け「コンプライアンス宣言」を行ってからも被害を出し続けた偽装勧誘や高額献金も、全て文鮮明の指導下で行われてきた。2つの分派は文鮮明を崇拝し、韓鶴子体制の教団を批判するが、その文鮮明こそが、霊感商法等で教団を築き上げてきた張本人である。

 安倍元首相暗殺事件を受けて、韓国の統一教会の元ナンバー2、郭錠煥(カク・ジョンファン=86)が7月に記者会見を開き、「安倍元総理の死に責任がないとは思っていない」と謝罪した上で、高額献金問題も含め現在の教団を批判した。

 実は郭氏は、統一教会本家と対立する3男派の指導的立場にある人物である。3男派では「郭グループ」と呼ばれる勢力もあるほどだ。

 信者たちの家庭を破壊してまでカネを集め巨大化してきたのに、理想家庭を謳う教祖の一族が資産や教団内権力をめぐって骨肉の争いを繰り広げている。山上徹也容疑者もそんな統一教会に家庭を破壊された1人だが、彼の凶行の責任をめぐっても、統一教会本家と分派の対立が話をややこしくする。とことん罪深い一族だ。
(一部、敬称略)

藤倉善郎(ふじくら・よしろう)
ジャーナリスト。1974年生まれ。宗教団体以外も含めた「カルト」の問題を取材。2009年にはカルト問題専門のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」を創刊し、カルト被害、カルト2世問題、カルトと政治の関係、ニセ科学やニセ医療、自己啓発セミナーの問題などの取材を続けている。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社新書)。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。