ガソリン価格は今後、値下がりする可能性高まる だが新たな“懸念材料”が

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ロシアへの制限

 念頭にあるのは主要7カ国(G7)が今年12月から導入を予定しているロシア産原油に対する価格の上限を設定する制度だ。

 上限価格を超えるロシア産原油を輸送する船舶に対し保険の付与を禁じることで(1)ロシアが原油輸出から得られる収入を制限することと(2)原油価格の上昇を抑えることで世界のインフレを緩和することを狙っている。

 価格の上限を設定することは短期的にメリットがあるかもしれないが、産油国が行う将来の供給に向けた設備投資の判断を難しくしてしまうという深刻な弊害を招く。

 サウジアラビア国営石油会社サウジアラムコのナセルCEOは9月20日「長期間にわたって化石燃料への投資が過小であったことが今回のエネルギー危機の本質だ」と指摘した上で「原油価格に上限を設定することはさらにこの傾向を助長する」と批判している。

 この制度の詳細は公表されていないが、ロシア政府は「市場メカニズムを阻害する」と猛反発しており、「価格上限措置を受け入れる国にロシア産原油の輸出を停止する」と警告を発している。

「市場に介入すれば手痛いしっぺ返しを受ける」のは歴史の教えるところだ。

 ロシアが実際に原油の輸出を停止する動きを見せれば、G7の意図に反して下落傾向にある原油価格は再び高騰してしまうのではないだろうか。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部

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