「常に“自分が一番”と思いながら」 女優・のんが明かす“満たされぬ思い”

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自分が一番

 性格は、自他ともに認める負けず嫌いだという。

「映画やドラマを見て“やってみたい”と思うキャラを男性の俳優が演じていると“こういう役を女性が演じることって少ないな”って思っちゃう。その俳優が同世代だと“ずるい”って嫉妬することも。だけど、同時に“私は絶対に負けてないぞ”って思うんです」

 幼少期から目立ちたがり屋だったそうだ。

「そのせいか、常に“自分が一番”と思いながら取り組んでいます。共演者が面白い演技をしていたら、私はそれを上回りたい。気持ちが燃えてくるんですよ」

 そう言って印象深い思い出を披露してくれた。

「幼稚園児の時、みんなで鬼の絵を描くことになり、周りは赤や青色の鬼を描きましたが、私の鬼は真っ黒。先生も友だちも不思議そうでしたが、私は格好いい鬼が描きたかっただけ。思えばそれが私にとっての普通で、当時から“自分はこれが好き”という素直な気持ちを信じてきたように思うんです。そのせいか、何事においても決断に迷ったことはほとんどありません」

“バズる”“ウケる”という発想ができない

 最近はテレビやウェブで流れるCMのほか、スクリーンで姿を見る機会が増えた。最新作は魚類学者でタレントのさかなクン(47)の半生を描いた映画「さかなのこ」(公開中)で、女性ながら本人役を演じている。

「当然ですが、どんなジャンルにも自分より詳しい専門家がいますね。そんな人の前では、むやみやたらに“私はこれが好きなんです”って言えない雰囲気がありますが、私はそんなの取っ払って生きていきたい」

 転機をもたらした東日本大震災から10年あまり。のんが演じる主人公の口癖は“じぇじぇじぇ”から“ギョギョギョ”に変化したが、今後も自身の価値観に忠実でいたいと語る。

「ネットで“バズる”とか、誰かに“ウケる”という発想ができないんです。ある時、狙って何かやってもしょうがないと気付いて、だったら“楽しく面白おかしく”とだけ考えています」

 改めて、20代の過ごし方と今後について尋ねると、

「手応えのある20代でしたよ。ただ、最近はアウトプットできるものが少なくなってきた。もっと引き出しを増やすためにいろんなものを見聞きしたい。今後はできるだけインプットに時間を割くつもりです」

芸能ライター・田辺ユウキ

週刊新潮 2022年9月15日号掲載

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