高市経済安保相が明かす「弱気発言」の真意 「うーん、私らしくないかぁ」

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 岸田内閣は、発足から1年を経ようとしてなお、目立った実績が見当たらない。支持率はいまも下落傾向が続くが、その閣内で一人、気を吐くのが高市早苗・経済安全保障担当相(61)だ。

「5月に経済安全保障推進法は成立しましたが、実際には枠組みができたに過ぎません。何とか2年以内に実効力を伴う法制度として確立するべく作業を進めているところです。大きな課題の一つにセキュリティー・クリアランスの問題があります。正直に申し上げて、これを制度化するのは非常にハードルが高いと言わざるを得ない。官僚たちも“これは大変な作業です”と言っているほど」

 高市氏が懸念する“セキュリティー・クリアランス”とは官民を問わず、流出が国益を損なうと見られる機密を扱う人物の適格性を審査・確認する制度のことだ。となるとどうしても、お隣のアノ国からの研究者や留学生が思い浮かんでしまう。

「現時点で特定の国を念頭に置いているわけではありません。ただ、国が有事と認定すれば海外在住の人民が保有する不動産や企業も軍事拠点化することが懸念されたり、すべての人民や企業に諜報や工作活動への協力義務を課すような法整備を続ける中国は注視しています。経済安全保障はハイテク技術ばかりではなく、食料やエネルギーなど幅が広い。これから起こり得る、あらゆるリスクに、しっかり対応していきたい」

「恩義もあった」

 いまでこそ決然と語る高市氏だが、入閣直後の8月14日には、自身のツイッターに〈辛い気持ちで一杯です〉と書き込んで物議を醸した。改めて真意を尋ねると、

「前任の小林(鷹之)さんに続投してもらいたかったんです。彼はこれまで長い時間を費やして、国会答弁などで頑張っていたから」

 小林氏は、一昨年に経済安全保障戦略の策定を企図して党本部に設置された「新国際秩序創造戦略本部(現・経済安全保障対策本部)」で事務局長を務めてきた。高市氏はその活躍を高く評価していたという。

「彼が岸田政権で大臣に抜てきされた時は嬉しくて、じかに総理に感謝を申し上げたくらい。だから私は総理に小林さんの留任を求めた。経済安全保障推進法が成立したとはいえ、あくまで大枠の話。小林さんは残った課題を仕上げたかったはずで、道半ばで退くのは無念だろうと、そんな率直な気持ちを投稿したんですよ」

 加えて、二人には政治家としての強い絆があった。

「小林さんは昨年の総裁選で、所属する二階派は河野太郎さんを支援していたのに、いち早く私の推薦人となって応援してくれた。そういう恩義もあったんです」

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