ダルビッシュ有、WBC辞退なら「ケジメ」必要 3000奪三振の“生けるレジェンド”が待望論に苦悩するワケ

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「変化は全然怖くない」

 米大リーグ、パドレスのダルビッシュ有投手(36)が9月2日にロサンゼルスで行われた地区首位の強豪ドジャース戦に先発し、7回無失点、9奪三振で日本選手では野茂英雄以来、2人目の日米通算3000奪三振の大記録を達成した。日本球界だけでの3000奪三振も金田正一ら4投手しか到達していない。来春開催のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向け、2009年には胴上げ投手になった右腕への待望論は高まるばかりだが……。その声と反比例するように、本人は苦悩を深めることになりそうなのだ。【津浦集/スポーツライター】

 ダルビッシュはこのドジャース戦で、既にWBC米国代表入りが決まっているベッツ、スミスの強打者を無安打に封じ込めた。トラウト(エンゼルス)ら一線級の野手が次々と参戦を表明している米国代表は、09年以来の覇権奪回を目指す日本代表の最大のライバルとみられる。WBC本番でも再現が期待されるダルビッシュの快投に、元NPB球団監督は出場への願いを込め、その唯一無二の存在感に言及する。

「投手としての完成度、成熟度は現時点で大谷(翔平=エンゼルス)より上。代表の投手陣は佐々木(朗希=ロッテ)、山本(由伸=オリックス)ら若手が多くなりそうな中で、ダルの実績や経験は群を抜き、“生けるレジェンド”と言える。日米通算18年のキャリアで培った財産を他選手に伝えたり、チームに安心感を与えたりできる。栗山(英樹)監督にしてみれば、是が非でも欲しい戦力だろう」

 何よりダルビッシュが加わることで、シンプルに代表チームの投手力がアップする。

 今季はここまでチーム断トツの12勝。直球の球速が上がるなど、36歳の今なお、最高峰のメジャーで成長を続けている。3000奪三振を達成した試合の後、変わることの怖さを問われると、「僕は中学校で最初から投手をさせてもらうのがなかなかなくて、1試合投げることは自分の中では大きいわけです。そこで真面目に外角低めに投げるのがもったいなくて、その中で遊びたいというのがあったから変化していくが出発点。全然、怖くないですね」と答えた。

 さらに、「野球を始めた時から変化球に執着し、そのおかげで今も試合の中で配球を変えながら、投げていける。いろんな投手になっていけるのが一番の強み」とも。「変化」をやめないことで、日本人では123勝の野茂に次ぐ、メジャーで91個の白星を積み上げた。

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