老舗ファンドに襲いかかった村上世彰 15%の株を買い占め

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 村上ファンドの村上世彰氏が書いた『生涯投資家』によると、同氏が投資する会社は〈経営に問題を抱えていることが多々ある〉という。ということは、「ジャフコ グループ」(以下ジャフコ)も村上氏にとっては問題企業なのだろうか。

 村上氏の配下にある「シティインデックスイレブンス」などが、投資ファンドのジャフコの株を買い占めていたことが明らかになったのは8月15日のこと。

 証券会社の幹部が言う。

「村上氏サイドは今年の5月から株を買い集め、8月5日には村上氏本人とジャフコ側が面談しています。この時点で買い占めた額は15%に達しており、村上氏はさらに51%まで買い進める用意があることを伝えました。ベンチャーファンドとアクティビストの違いはあれ、いわば同業ともいえる村上氏に買い占められていたことはジャフコ側もショックだったはずです」

狙われやすい会社に

 ジャフコは名門企業である。約50年前、野村證券傘下のベンチャーキャピタルとして発足し、未上場企業だった良品計画、カプコン、ZOZOなどの優良企業を発掘してきた。単に投資するだけでなく、時には経営者にアドバイスも行い、今も千社近くに投資している。だが、株価はさえなかった。

「ベンチャーキャピタルは企業を上場させて初めて利益になります。その一方でばくちのような側面もある。それもあって、業績はアップダウンを繰り返し、時価総額が純資産を割り込むような状態が続いていました。5年前には野村證券の傘下を外れたことから、狙われやすい会社になっていたのです」(同)

 村上氏が目を付けたのはジャフコが約4%保有している野村総研の株だ。時価にして約1千億円になるが、村上氏はこの株を売って500億円の自社株買いを求めてきたという。これに対し、ジャフコ側も買収防衛策を検討し、臨時株主総会で勝負に出る構えを見せている。

 村上ファンドがジャフコの経営を握ればどうなってしまうのか。投資先の企業にも不安が広がっている。

週刊新潮 2022年9月1日号掲載

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