小池栄子の演技はなぜ評価される? 「頭が良くて、すさまじい努力家」恩師・成島出監督が明かす

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相手に気を使わせない

 小池は、ある理由から誘拐された過去を持つ女性に取材を試みるフリーライター・安藤千草を演じるが、

「千草もまた、事情を抱えた女性たちが暮らす特殊な施設で幼少期を過ごした複雑な人物です。“千草は普段、どんな歩き方や話し方をしているんだろう。映画のシーンは彼女の一部でしかない。だから全体像を考えてみよう”と話し合いました。その結果が千草の猫背や独特な話し方に表れています。栄子ちゃんは脚本に忠実に演じることが多く、そうした役への入り込み方は初めてとのことでした」

 この千草役はプロ筋からも称賛され、日本アカデミー賞優秀助演女優賞に輝いた。

「とにかく頭がよくて勉強家で、すさまじい努力家でもあって、セリフ覚えは完璧。“いつか中国映画に出たいんです”と言って、中国語の本を読んでいたことも」

 と続ける成島監督。20年公開の「グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇」で再び小池を抜擢し、今度は大泉洋とのW主演と相成った。

「彼女は緊張している大泉くんに話しかけてリラックスさせる一方で、自然体でズバズバとものを言い、相手に気を使わせないようにもしていました。そんな積み重ねが大河で花開いたのでしょう。『マルサの女』で若い頃以上に人気を得た宮本信子さんみたいに、40代での主演に期待しています。『小池版マルサの女』、見てみたいですよ」

週刊新潮 2022年9月1日号掲載

ワイド特集「哀の水中花」より

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