日本は「中進国」に成り下がった? 給料を上げる“逆転の一手”とは?

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 80年代半ばの日米半導体協定とプラザ合意で叩き潰されて以来、給料が上がらず、各国に追い抜かされ放しの日本。内閣府特命顧問も務めた経済学者の島田晴雄氏によれば、もはや「中進国だ」という。だが、逆転の道はある。そのための決意と覚悟を総理に問う。【島田晴雄/慶應大学名誉教授】

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〈岸田文雄総理が打ち出した「新しい資本主義」は、どん底にある日本経済を浮上させる起爆剤になるだろうか。

 なにしろ日本人の平均年収は、OECD(経済協力開発機構)のデータによると、1990年の時点で406万円だったのが、それから30年経った2020年にも424万円と、ほとんど上がっていない。一方、韓国は日本の約6割の240万円から462万円に上昇し、日本を追い抜いてしまった。日本人の賃金はもはや、先進国のなかで最低レベルである。

 慶應義塾大学名誉教授の島田晴雄氏は、日本経済のいまの体たらくについて「焼け野原だった終戦時と変わらないほど壊滅的」と評する。だから岸田総理は「思い切った戦略を立て、強いリーダーシップを発揮しながら、決死の覚悟で日本経済を再生させる必要」があると強く訴える。〉

「総理の明確な考えや戦略が見えない」

〈ところが、肝心の「新しい資本主義」は、七夕の短冊のように「いろいろな政策項目が並んでいる」が、「総理の明確な考えや戦略が見えない」と指摘する。「各官庁の担当者たちに話を投げ、集まった回答を無秩序に並べただけのように見える」というのだ。

 経済が壊滅的な状況で政権を手にした岸田総理は、「衰退傾向と正面から向き合い、逆転させ、新たな力強い発展の方向性を国民に示す」という歴史的な使命を負っているはずだが、「新しい資本主義」で政策項目を並べただけで「力強い発展」につながるはずもない。

 では、どうするか。島田氏によれば、手はあるという。そして、凋落した状況から逆転するためには、なぜ凋落したのか、原因を究明する必要があると説く。〉

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