「大谷翔平」エ軍残留も、迫るヤンキースの「強奪」Xデー 今オフトレードに向けて2度の「ヤマ場」

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終わりの始まりに過ぎない

 この代理人によると、最初のヤマ場は12月4日~11日のウインターミーティングに訪れる。毎年、各球団の幹部と代理人が一堂に会し、移籍交渉が活発化するイベントだ。19年にはコールとヤンキース、ストラスバーグとナショナルズ、そしてレンドンとエンゼルスの大型契約がまとまった。今年は、大谷の去就が最大の焦点になりそうだ。

 次は年俸調停の公聴会が開かれる、来年2月のキャンプイン前だという。エンゼルスは契約延長で大谷と合意できなければ、来季単年の契約を結ぶことになる。今季で2年契約が終了する大谷は来オフに再び、年俸調停の権利を得る。代理人はこの2年間の実績をタテに、最低でもレッドソックス時代のベッツ(ドジャース)の史上最高年俸2700万ドル(約29億7000万円)に匹敵する条件を要求するとみられている。

「前例のない選手の評価だから、大谷側の要求と球団提示がかけ離れるかもしれない。大谷側はこの2年、850万ドル(約8億9000万円)という破格の安さでプレーしており、簡単には妥協しないだろう。ただ調停、調停回避どちらにしても、単年契約になった時点で大谷のFAでの流出はほぼ確定。球団が大型契約に失敗したことを意味するからだ」

 代理人によると、どちらのヤマ場でもヤンキースの動向には要注目という。

「エンゼルスが大谷との交渉に難航しているとみれば、トレードを打診する可能性はある。交換要員のトッププロスペクトを複数擁し、資金力も豊富。当然、大谷との大型契約を見据えたトレード、それも大谷対複数のブロックバスター(超大型)トレードなる」

 日本ハムから移籍時、ヤンキースは本命視されながら面談さえ受けられず、大谷にソデにされた。レッドソックスやレイズなどと同じメジャー随一の激戦区に所属し、メディアも辛辣な土地でのプレーを選ばなかった大谷を、ニューヨークのメディアは「臆病者」などと批判した因縁がある。「現代のベーブ・ルース」とも呼ばれる大谷が、元祖と同じくヤンキースタジアムでピンストライプのユニホームに袖を通し、投打に躍動することはあるのか。

「オフシーズンが深くなるほど、いつビッグニュースが飛び込んできても不思議ではない」(同)

 今シーズンいっぱいはエンゼルスでプレーすることが確定しただけで、大谷の去就を巡る“狂想曲”は終わりの始まりに過ぎない。

津浦集(つうら・しゅう)
スポーツライター

デイリー新潮編集部

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