新人参院議員に「旧文交費の日割り支給」実施も実は“抜け穴”だらけ 特に秘書給与はザル状態

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 62億5885万1798円──これが何の金額かお分かりになるだろうか。答えは、2020年度、参議院議員に支払われた「秘書給与」の総額だ。議員1人あたり公設秘書3人の人件費を国が負担している。

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 20年度の参議院定数は245人だったことから計算すると、公設秘書1人あたり年約850万円の“人件費”が税金から支払われていることになる。

 後で詳しく触れるが、議員秘書の給与は個人差が大きいという。約850万円という公設秘書の年収は、あくまでも平均値だ。

 本稿で見ていくのは、参議院議員が受け取る歳費(給与)や公設秘書の給与で「日割り」がどのように行われているか、という問題だ。

 それを検証する前に、まずはかつて支給されていた「文書通信交通滞在費(文交費)」の問題から振り返ってみよう。

 昨年10月31日に衆議院選挙が行われ、当選を果たした議員には文交費が支給された。その際、「10月分」を巡って、有権者が強く反発した。ご記憶の方も多いだろう。担当記者が言う。

「文交費は月100万円と定められていました。衆議院議員の任期は投票日から始まります。そのため、当選者は10月31日から“代議士”となり、文交費も10月分は満額の100万円が支給されたものの、『たった1日だけなのに満額はおかしい』と議論が巻き起こりました」

文交費問題

 昨年の衆院選で日本維新の会の公認候補として東京1区から出馬した小野泰輔議員(48)は、選挙区では落選したものの比例復活で初当選を果たした。11月に文交費の100万円が支払われると、小野議員は疑問を覚え問題を提起。それが“発火点”となった。

「文交費の支出に領収書が必要ないことも問題視されました。国会議員からも『日割り支給にすべき』、『領収書の提出が必要』との意見が出ました。結果、4月15日に法改正が行われ、日割り支給が決まりました。しかし、領収証の問題は棚上げとなり、今でも提出や公開の義務はありません」(同・記者)

 興味深いことに、先の法改正に伴い、文交費は「調査研究広報滞在費」と名称も変わった。今のところ略称は存在しないが、本稿では仮に「調研費」としておこう。

「旧法では、国会議員が書類を発送する際の費用や、移動するための交通費などを、国が負担するという趣旨でした。そのため『ネットで送れる書類もあるし、交通費もJRの無料パスを持っている議員は多い』と批判する識者がいました。そうした指摘と関係があるのか、今回の法改正で、税金を使う理由自体が変わってしまいました」(同・記者)

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