追悼・島田陽子 「最後の内弟子」が初めて明かす、「繊細で真っ当で貪欲だった」国際派女優の知られざる素顔
適当には生きられなかった求道者
渡邉氏によれば、島田は往年の米女優グロリア・スワンソンやキャサリン・ヘプバーン、そして三船敏郎などについてよく話したという。
「あと宮沢賢治も好きでしたね。島田さんは非常に繊細で、自分が発する言葉にも相手から向けられる言葉にも過敏なところがあり、それゆえ傷つきやすい一面を持っていました。求道者のように演技の道に邁進すると同時に、私生活でも適当には生きられない女性との印象を強く抱いていました」(渡邉氏)
19年7月、島田は23年間連れ添った夫と離婚。この時も「2人でしっかりと話し合った末での決断よ」と話し、むしろ晴れやかな面持ちだったという。
「亡くなる2年ほど前から、僕の仕事が忙しくなったことなどもあり、島田さんとは少し疎遠になっていました。最後にお会いした時には、声がかすれていて、体調も良くないように見えた。しかし本人は気丈に振る舞い、メイクも服装も手を抜いたところがなく、いつもの島田陽子さんのままでした。……まさか、こんなに早く突然のお別れが来るなんて想像もしておらず、気持ちの整理はまだ付いていません。島田さんには感謝の気持ちしかありませんが、何ひとつ恩返しできなかったことには後悔しかない。僕のなかで“目指すべき先達”として島田さんの存在は別格。これからも憧れ、追い求め続ける“師匠”であることに変わりはありません」(渡邉氏)
74年のテレビドラマ「われら青春!」で共演した俳優の中村雅俊が島田の訃報に接して語ったように、島田は多くの人にとって「いまでもマドンナのまま」である。
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