既存の刑事ドラマへの挑戦?ドラマ「初恋の悪魔」の楽しみ方

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 世界的に評価されている脚本家の坂元裕二氏(55)による日本テレビの7月期ドラマ「初恋の悪魔」(土曜午後10時)が始まった。ともに若手演技派の林遣都(31)と仲野大賀(29)のダブル主演作ということもあって、前評判は高かったが、実際の作品はどうだろう。

坂元作品らしさが満載

「初恋の悪魔」は進取の気風に富む坂元氏の作品らしく、オリジナリティがパンパンに満載されている。

 まず、舞台は警察署だが、既存の警察ドラマとは基礎工事の部分からまったく違う。一方でタイトルはまるで昭和20年代の青春映画。もちろん計算ずくだろう。

 キャッチコピーを確認しておきたい。「警察モノ? ラブストーリー? 謎解き系? 実は青春群像劇? その全てがここに出会った!」。確かに第1話の時点で、この4つの要素が全部入っていた。

 主人公の1人は神奈川県警境川署の刑事課刑事ながら、銭湯に拳銃を忘れた罰で懲戒停職中の鹿浜鈴之介(林遣都)。もう1人は同署総務課職員・馬淵悠日(仲野大賀)。交通安全のポスター貼りなどを手掛けている。どちらも立場上、警察ドラマの売り物である足を使った捜査が出来ない。

 鹿浜は大の推理マニアで病的な犯罪オタク。「この国は凶悪犯が少なすぎる」と不謹慎なことを口にする。どう見てもヤバイ奴だ。言うまでもなく、こんな人物が警察ドラマの主人公になったことはない。

 馬淵は対象的に好青年。よく働くし、上司や先輩の言葉には素直に従う。誰とも衝突しない。エライ。半面、遠慮しすぎとも言える。

主人公2人は「馬淵」と「鹿浜」でおバカコンビ

「馬淵」と「鹿浜」で馬鹿。おバカコンビと考えていいのだろう。また「淵」は水を深くたたえているところ。「浜」は水際。真逆の存在ということになる。事実、第1話でのキャラはその通りだった。

 2人には仲間がいる。同署会計課職員の小鳥琉夏(柄本佑、35)と同署生活安全課の摘木星砂(松岡茉優、27)。摘木は刑事だが、万引き取り締まりの担当なので、事件の捜査はやっぱり出来ない。

 それなのに4人は署には内緒でチームを結成し、事件の真実を追い求め始める。なぜか豪邸である鹿浜宅で「自宅捜査会議」を開くようになった。

「事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ!」という名セリフを生んだのはフジテレビ「踊る大捜査線」(1997年1月期)だったが、ついに自宅で事件の真実が追求されるようになった。図らずも世は在宅勤務の時代。ドラマは進化する。

 第1話の捜査テーマは「病院内での少年転落死事件」だった。ダメ人間ぞろいの刑事課は捜査を面倒くさがり、病気を苦にした自死でケリを付けようとしたが、4人は違うと見る。関係者の調書と資料に基づく推理だけで事件の真実に辿り着こうとする。

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