巨人、「次の坂本勇人を探せ!」と指令も 20年続いた“ショートの安泰”が突き付ける厳しい現実

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3度目の戦線離脱

 7月14日には今シーズン初の借金生活に転落するなど、優勝どころかAクラス入りにも暗雲が立ち込めてきた巨人。リーグワースト(7月18日終了時点)の防御率で投手陣の課題を抱えているが、チームの将来を考えるとそれ以上に頭が痛いのが、シュートを守る坂本勇人の“後継者問題”だ。【西尾典文/野球ライター】

 2016年には首位打者を獲得し、2019年には40本塁打を放つなど球界最高の「打てるショート」として長く活躍してきたが、過去2年間は怪我もあって出場試合数が減少している。

 今年は3月に左脇腹を痛めて開幕戦を欠場すると、4月に膝、7月には腰と相次ぐ故障で、早くも3度の戦線離脱となっている。3割近い打率を残し、守備もまだまだ華麗な動きを見せているとはいえ、今年で34歳という年齢を考えると負担の大きいショートで、1年間フルに活躍するのは難しいのではないかという声が多くなっている。

 過去には、ショートをみると、宮本慎也(ヤクルト)が37歳となるシーズンで129試合、井端弘和(中日)が37歳となるシーズンで140試合にそれぞれ出場している。だが、それ前後には、ショートでの大きく出場試合数を減らしており、他のポジションに回っている。

 坂本のように、常にショートで出場し続けていた例としては、鳥谷敬(阪神)が35歳で118試合に出場しているが、坂本も来年35歳となることを考えると“世代交代のタイムリミット”が迫っている。

 では、肝心の後釜としてはどのような選択肢が考えられるのだろうか。

多くのショートを獲得するも……

 球団としても黙って、坂本の加齢を見ていたわけではなく、近年は多くのショートをドラフトで獲得している。2015年以降のドラフト会議で指名した主な選手を並べると、以下のようになる。

 増田大輝(2015年育成1位、現在は支配下登録)、吉川尚輝(2016年1位)、若林晃弘(2017年6位)、湯浅大(2017年8位)、黒田響生(2018年育成4位)、増田陸(2018年2位)、中山礼都(2020年3位)、岡本大翔(2020年育成1位)

 このほか、昨年、育成10位で獲得した大津綾也は、捕手登録ながら三軍で多くショートとして起用されている。また、20年オフに、トレードでヤクルトから広岡大志を獲得している。この動きを見ても、チームが坂本の後継者問題を重く考えていたことがよく分かる。

 この中では、今年2年目の中山が多く起用されており、「ポスト坂本」に最も近い位置にいると言えそうだが、現状、打撃に関しては非力な感は否めない。一方、広岡も時折見せる長打力は魅力ではある一方、バッティングの確実性に乏しい。これまでの実績を考えると、現在はセカンドを守る吉川をショートにコンバートするという案があるものの、どれも決め手には欠けるというのが現状だ。

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