マスクを外さなければ「高齢者が千人単位で亡くなりかねない」 “濃い汗”をかく場合は要注意

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男性も日傘を

 では、どう対策するか。

「イオンが不足しているところに水分だけを大量にとると、イオンのバランスが崩れて、意識障害などの引き金になります。水分だけでなく、経口補水液などをとり入れる必要があります。イオンが豊富なうえ、水分とイオンを強制的に体にとり入れられるからで、普段はこまめに水分補給しつつ、体調が悪いときは経口補水液を飲むとよいでしょう」

 小さな留意点にも触れておこう。大谷院長が言う。

「環境省の『熱中症環境保健マニュアル』に書かれていますが、衣服のなかに風を通し、体から出る熱や汗を速やかに乾かすことです。ゆったりした衣服で、襟元を緩め通気をよくしてください。速乾性の素材を選び、炎天下で輻射熱を吸収する黒の素材は避けること。あとは日傘や帽子を使ってください。ただ帽子は熱がこもるので、時々外して汗の蒸発を促してください」

 塩野院長によれば、「日傘を使うと体感温度が7度下がる」とされ、「男性も使ったほうがいい」という。

 うちわや扇子、扇風機はどうか。秋葉院長が言う。

「いずれも熱中症対策に有効ですが、その効果は汗を蒸発させ、体を冷やすことにあります。つまり汗がかけないと、いくらあおいでも体は冷えず、脱水になってしまうと無効です」

汗を上手にかける体に

 しかし、いまのように猛暑が急激に訪れると、体がすぐには慣れず、汗をうまくかけないのだという。大谷院長が説明する。

「私たちの体を夏の体にするために、つまり、たくさん汗をかいて体温調節できる体にするために暑さに慣れていくことを、暑熱順化といいます。暑くなりたてのころは汗の量が少ないので、汗を上手にかける体にしなければいけません。6~7月ごろは、汗と一緒に濃い塩分も出てしまうため、汗は少しベタベタして塩分補給も必要になります。その時期にうまく暑熱順化できていない方が救急搬送されるのです。ある程度汗をかいたあとの8月、暑熱順化したあとは、汗のなかの塩分濃度が下がり、さほど塩分補給しなくても熱中症になりづらくなります」

 そのために大谷院長が勧めるのは、

「いまからでもいいので、汗がかける体にし、汗腺機能を良くするため、ウオーキングするといいでしょう。暑い日中は避けて夕方に行うのがいいと思います。私も夜、歩いています」

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