参院選、自民が擁立した4人の新人女性は“数合わせ”? 党の支援態勢は貧弱

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 各国の国会議員が交流する列国議会同盟(IPU)の調査によると、日本の議会における女性議員の比率は162位。主要7カ国(G7)の中でも際立つ最下位である。参院選を目前に、自民党がこの不名誉な現状の打開に乗り出したが、その取り組みへの評価はいま一つだ。

 政治部記者が解説する。

「自民党は今回、公認する比例代表の女性候補を3割まで増やしました。主導したのは茂木敏充幹事長で、5月30日の会見では“比例候補者33人のうち10人が女性ということになる。自民党は女性と若者がさらに活躍する多様性あふれる社会を目指して、政治の世界を進化させていきたい”と鼻息荒く語っていましたよ」

 この日、自民党は4人の女性を比例代表候補に追加発表し、擁立作業を完了させた。追加されたのは東京都豊島区議から転じた有里真穂氏(39)、ウイグル出身の両親を持つ元国連職員の英利(エリ)アルフィヤ氏(33)、民間学童保育を経営する遠藤奈央子氏(47)、そして新型コロナ対応・民間臨時調査会(コロナ民間臨調)のメンバーを務めた向山淳(じゅん)氏(38)と、いずれも多彩な経歴を誇る才媛ばかりだ。

党内で“捨て石”との見方も

 かねて「比例代表候補の3割は女性に」と公言してきた茂木氏にしてみれば、見事に“公約”を果たした格好である。が、

「比例代表なら党本部の裁量で候補者を差配しやすいからね。合理主義者の茂木さんらしい発想だけど、党内での評判は決して好意的なものばかりじゃない」

 とベテラン議員は苦笑い。

「というのも、ピカピカの経歴を持つ女性ばかりなのに、茂木さんはしっかり面倒を見るつもりはないようだから。これでは、4人は女性候補を3割にするための数合わせで使われたに過ぎず、党内でも“捨て石”との見方がもっぱらだよ」

 先の記者が後を引き取る。

「確かに、組織票を持つ特定の業界や団体が抱える有力候補やタレント出身者がひしめく中、圧倒的に知名度に乏しい新人が、いきなり当落ラインとされる10万もの票を集められるとは思えません。今回、自民党は“前回と同じ19から18議席は堅い”というのが現時点での相場観ですが、彼女たちが当選圏内に入るのは至難の業と言わざるを得ません」

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