中国に「高級ブドウ」流出で損失は100億円 種苗法改正にズレた反論をしていた柴咲コウ

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 さきごろ農水省は、日本で開発された高級ブドウ「シャインマスカット」が中国に流出し、経済損失が年間100億円に上るとの試算をまとめた。同じ轍を踏まぬよう一昨年、法改正がなされたのだが、時すでに遅し。そこで思い出されるのは、あの女優の「発信力」。

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 全国紙デスクが言う。

「シャインマスカットは、日本の研究機関が開発して育成してきた品種。ところが、その苗木が中国に無断で持ち出され、現地で堂々と栽培されているのです」

 こうした状況にあって一昨年12月、国内で開発されたブランド農作物の種や苗木を海外へ無断で持ち出すことを禁じる改正種苗法が成立。昨年4月から施行されているのだが、

「規制対象は新たな品種の持ち出し。すでに中国のシャインマスカットの栽培面積は日本のおよそ30倍に及んでおり、これは罪に問えません。もし中国側が正規に苗木を購入していれば、得られる許諾料は毎年100億円に上るはずでした」(同)

“脱法”を見過ごした代償が100億円の損失というわけだが、ブドウに限らず、

「『とちおとめ』などブランド品のイチゴも、韓国や東南アジアに流出し、5年間で200億円以上の経済損失が出ている。業を煮やした政府は今回、農家に代わって知的財産権を管理する専門機関設立の検討に踏み切りました」(同)

 長きにわたる農政の体たらくが招いたとはいえ、これ以上傷口は広げられまい。

柴咲コウの影響力

 その「種苗法」で思い出されるのは、かつて“改正反対”を唱えて物議を醸した柴咲コウ(40)である。

「かねて環境問題に関心を寄せていた柴咲は、独立して個人事務所の所属となった直後の一昨年4月末、ツイッターで“新型コロナの水面下で、『種苗法』改正が行われようとしています”として“このままでは日本の農家さんが窮地に立たされてしまいます”などと呼びかけました」(芸能記者)

 これに賛否両論が寄せられ、ほどなく柴咲は文面を削除。それでもさすがは大河女優の発信力、ツイートから20日後に与党は国会での改正案成立を見送る方針を固めたのだった。

 高倉成男(しげお)・明治大学名誉教授(知的財産法)が言う。

「改正種苗法の最大の趣旨は、国内の苗木を海外へ持ち出せないようにした点です。2年前の法改正の際には、農家の自由な品種の掛け合わせまでも制限されると反対する声もありましたが、その批判はややズレていました。農家の方々が使うのはほとんどの場合、従来ある品種で、規制の対象とはならない。結果的に世間の関心が集まったのはいいとして、本質とは関係のない部分だったのです」

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