インコを避妊具に入れ虐待、なおも不審死は止まず… 逮捕された30代男性と対峙したドキュメンタリー

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導き出された「虐待犯は『悪』ではない」という答え

 3羽は殺していない、死んでしまった、というのが男の主張である。北田監督がいう。

「彼を含めた虐待犯たちを中心に取材を続けていたわけですが、だんだんと“答え”は出てこないと思うようになりました。こう言うと誤解を招くかもしれないのですが、虐待犯は『悪』ではないなと。インコの彼など、本当に悪意がない。病気なんです。だから本当に悪いのは、彼らのような虐待犯を矯正できない、虐待を抑止できない『法』にあると思うようになりました。薬物中毒者であれば取り締まる法律があり、矯正施設もある。けれど動物虐待にはない。だから途中で、警察や司法への取材に切り替えたのです」

 虐待犯たちに対してと同様、北田監督は動物愛護法の矛盾にも切り込んでいく。詳しくは実際に作品を観て頂きたいが、制作を通じて北田監督が得た次のような経験は、動物愛護を考えるうえでのヒントになるかもしれない。

「取材のため、酷い殺されかたをする動物たちの動画を観ていたことで、PTSDになってしまいました。夜、とつぜん猫の悲鳴が聞こえて目が覚める。ガスコンロの火を見ると、バーナーで炙られる動物の映像が蘇る。そうしたことに耐えながら、さらに虐待映像を見ていると、本当に驚いたのですが……“いいぞ、もっと残酷なことをやれ!”という気持ちになっていくんです。悲惨な状況に耐えられなくなった脳の防衛本能なのか、目の前の状況を肯定しようとするんですね。その時、われわれ人間には、大なり小なり残虐なものを好む本能があるのではと思い至りました。人間がそういう生き物である以上、だから動物虐待事件はなくならない。だからこそ、縛る法の在り方を模索する必要があるのです」

 映画『動物愛護法』は、公式サイトにて有料配信中。6月6~8日には神奈川県横浜市の「シネマノヴィチェント」にて劇場公開される(PG-12指定)。

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