インコを避妊具に入れ虐待、なおも不審死は止まず… 逮捕された30代男性と対峙したドキュメンタリー

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コンドームをかぶせられたインコ

『動物愛護法』では、この税理士の男のほか、“生きたハムスターを爬虫類に捕食させる動画を投稿していたYouTuber”らに迫る場面がある。なかでもより深い取材に成功したのが、冒頭で触れたインコの虐待犯だ。本人へのインタビューも行っている。

「事件を起こしたのは生活保護を受けていた30代の男でした。生活保護者向けの施設の自室でインコを飼っていたのです。鳴き声がうるさくて夜眠れない、そもそも本来はペットの飼育が禁じられており、隣人にバレるのを恐れてインコを虐待した……というのが裁判時の主張でしたが、本当かどうかは怪しいものです。なにせ、インコの羽をむしったり、血だらけの身体に塩のようなものを塗り込んだり、身体に脚にホチキスや釘を刺したりといった残虐な行為を行っていたわけですから。それをSNSにアップしていたのです」

 当時、男のアカウントでは複数のインコに対する虐待が公開されていた。だが争点とされたのは、“コンドームをかぶせられ点火棒を押し付けられたインコ”の一羽のみだった。

「今回、男を監視し逮捕につなげた通報者にも話を聞いたのですが、警察のずさんな捜査に対し怒っていました。適用されたのが、動物愛護法の1項(殺傷)ではなく2項(衰弱)と、軽いものだったからです。つまり、殺したのではなく、衰弱させて死んでしまった、という扱いです。男はあえて雛からインコを育て、信頼関係を築いたうえで虐待していた。はっきりいって異常者です」

 逮捕されたあと、男は施設を移り、身を隠した。どうやってたどり着いたのか。

「取材の過程で“男がこのアカウントでメルカリをやっている”というタレコミがあったのです。客を装って購入したところ、匿名発送の設定がされていたものの、どこの郵便局から発送されたかはわかった。その郵便局の周辺地域には、生活保護者向けの施設が3つあったのです。それらを張り込み、男の住所を突き留めました。3カ月かかりました」

 ちなみにメルカリに出品していたのは「ゲーム関係のロリ系の付録」だったという。事件当時、男はインコと共に“幼女”への並々ならぬ執着もネットに綴っていた。

 居場所を把握したうえで、なおも取材を続けた北田監督は、そこで驚くべき事実を知る。今後は禁じられていたはずのインコの飼育を男はなおも続けており、しかも2カ月の間に3羽が亡くなっていたのだ。死体は生ごみとして捨てられていた。

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