〈マイファミリー〉仲間の子供を狙った「東堂樹生」の犯行動機を探る

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 嵐の二宮和也(38)が主人公のゲーム開発会社CEOを演じているTBS「日曜劇場 マイファミリー」(日曜午後9時)は野心作だ。誘拐という設定を使い、「家族」と「仲間」、「ビジネスパートナー」との絆を描いている。ストレートな考察モノとは異なる。

 タイトルにある「ファミリー」はトリプルミーニング。「家族」を指すのはもちろん、「仲間」「ビジネスパートナー」も意味する。それぞれの絆のカタチが描かれている。

 脚本を書いている黒岩勉氏(50)はコロナ禍で人間同士が触れ合いにくくなり、その結び付きが弱くなっていることを意識したのだろう。

 当初は主人公・鳴沢温人(二宮和也)の家族に焦点を合わせた物語だと思わせた。けれど観ているうち、違うことが分かってきた。オープニングのタイトル映像で最初に大きく使われる写真にもそれは表れている。

家族写真からの変化

 4月24日放送の第3話までは温人と妻・未知留(多部未華子)、1人娘・友果(大島美優)の家族写真が使用されていた。だが、第4話は大学時代の仲間4人の写真に変わった。

 4人とは温人と未知留、弁護士の三輪碧(賀来賢人)、元刑事で現在は調査会社代表の東堂樹生(濱田岳)。大学時代は固い絆で結ばれていた。ファミリーだった。

 けれど、この物語が始まった時点では関係が淡泊なものになっていた。卒業から10年以上過ぎているのだから、そう珍しい話ではない。

 それが1年前以降、再び濃密な関係になる。友果が誘拐されて、警察を抜きにして4人で奪還を目指したからだ。温人は一時的に三輪と東堂に助けてもらっただけでなく、以降は2人のために献身的になる。4人はファミリーに戻った。

 5月22日放送の第7話でのタイトル映像の写真は、温人が経営するハルカナ・オンライン・ゲームズのCOO・立脇香菜子(高橋メアリージュン)と社員5人の笑顔に変わった。温人と香菜子は一緒に会社を立ち上げたビジネスパートナー。やはりファミリーだ。

 ところが、この第7話で温人は香菜子が犯人ではないかと疑う。誘拐犯グループの一員である同社社員・鈴間亜矢(藤間爽子)が、犯行に使用した私用パソコンを処分していたからだ。

 けれど香菜子はシロ。この行為は会社を守るためだった。友果が誘拐されたことで温人に世間の同情が集まったにもかかわらず、犯人の1人が社内にいたことが分かったら、まるで自作自演だ。一転して温人も会社も猛批判にさらされることを香菜子は恐れた。

「私にとって、この会社が子供なの」。香菜子は温人に対し、そう訴えた。ファミリーが人間を指すとは限らない。また、一緒につくった会社を通じて温人と香菜子は固い絆で結ばれていたことが再確認された。

 第7話では友果誘拐の犯人が東堂であることも分かった。三輪と離婚した元妻・沙月(蓮佛美沙子)の娘・優月(山崎莉里那)を誘拐した犯人もそう。

 さらに現在進行形の誘拐の犯人も東堂だ。ネットサービス企業CEOの阿久津晃(松本幸四郎)とその妻・絵里(森脇英理子)の娘・実咲(凛美)がさらわれた件である。

 温人はファミリーの裏切りに激怒する。だが、東堂の犯行には深い事情がありそうだ。ターゲットに仲間の子供を選んだ理由にも。少なくとも身代金目的の誘拐でないのは間違いない。

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