巨人は1番・丸、3番・吉川尚輝の打順でいいのか【柴田勲のセブンアイズ】

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阪神との制球力の差

 この3連戦、巨人投手陣と阪神投手陣の制球力の差が出た。阪神の先発・青柳晃洋、アーロン・ウィルカーソン、そして伊藤将司は低めへていねいに投げていた。ストライクを先行させてボール球を振らせる。仕留める。これができていた。

 投手にとって「すごい速球を投げ込む」とか「鋭い変化球がある」といった評価は関係ない。いかに自分のボールを狙ったところに投げ切れるか。これだ。この3連戦、阪神投手陣は30パーセントできて、巨人投手陣は10パーセントくらいしかできなかった。

 戸郷翔征にしてもエイッと投げることが多いタイプである。制球力に関してはどちらかといえばアバウト(大ざっぱ)だ。フォークを持っているからいいが、もっと制球力を磨く必要がある。

 マット・シューメーカーは確かに低めを意識して投げていたが、いかんせん球威が物足りない。少しでも甘くなれば打たれる。

 22日の高橋優貴はひどかった。2回途中で降板したが、四球連発でピンチを招いた。ストレートで与えた四球があれば、投手の伊藤将も四球で歩かせた。四球が絡めば大量失点に結び付く。

 昨年チーム最多の11勝を挙げた高橋だがそんなことは関係ない。ここは原点に戻って再出発してほしい。今後のチームにとって絶対に必要な戦力である。

 さて、今季の巨人投手陣の四死球数は181個でリーグワーストだ。桑田真澄投手チーフコーチも頭を抱えているに違いない。現役時代は制球力が抜群だった。それだけに尚更だろう。

 冒頭で2位をヨシとしたが、もちろん上がり目を十分持っている。なんやかんやいって菅野が5勝を挙げているのは大きいし、坂本もいずれ復帰してくる。若手も頑張っている。我慢して戦っていけば、いずれいい方向に動き出し、開幕当初の快進撃も期待できる。

(翁田)大勢という頼りになるストッパーがいるのも力強い。

 24日からは交流戦だ。褌(ふんどし)を締め直して臨んでもらいたい。
 (成績は23日現在)

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会副理事長を務める。

デイリー新潮編集部

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