田口容疑者に4630万円“誤送金”した阿武町「役場職員」にどんな処分が下されるのか

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4630万円では済まない

「国がもう一度お金を出してくれるとは思えませんので、補正予算を組むしかないでしょう。実は、今回の事件の経緯や真相を議会でも究明すべきと思い、少しでも早く臨時議会を開くために賛同する議員を集めました。ところが横やりが入って、当初賛同してくれた議員も、『すまん』と翻ってしまいました。とりあえず今は、弁護士費用の440万円と容疑者の資産を差し押さえるための供託金860万円の予算を取ったところです」

 弁護士費用などを合わせれば、被害は4630万円では済まない。それは誰が肩代わりするのだろう。

「町長は『容疑者に返還を求めていく』と言っていますが、本人は『全て使ってしまった』と言っています。それも本当かどうか分かりませんが、最終的には町が何とかするしかないでしょう。決して小さな金額ではありませんが……」(米津町議)

 自分の金でもないのに使い込んだ田口容疑者に責任があるのはもちろんだが、そもそものきっかけを作ったのは町職員という声も出ているようだ。前出の地元紙記者は言う。

しかるべき時に処分

「給付金の振り込みなどを行う出納室は、これまでベテランの女性職員と室長の2人が担当していました。しかし、女性職員が4月1日付で異動となり、その穴を埋める形で来た若い職員が誤って振込手続きをしてしまったんです。町内では『若い職員へのバックアップが足りなかったんじゃないか』との声が多いですね」

 4月8日に誤送金が発覚すると、町役場はその10日後の18日に、再び人事異動を行っている。

「4月1日に異動した女性職員を18日付で出納室に戻し、若い職員は別の部署へ行きました」(同・地元紙記者)

 これが処分ということなのだろうか。米津町議は言う。

「どういう意図で人事異動が行われたのかは分かりませんが、時期から言っても今回の事件のために行われた人事なのでしょう。ただ、これが処分とは思えません。私は4月8日に、町長に申し入れといいますか話をしにいったんです。その中で町長は『しかるべき時に、私も含めて処罰することは考えています』ということでした」

 しかるべき時の処分とは、どの様なものになるのだろう。

「議員に人事権はありませんので、そこまでは……」(米津町議)

 今回と似たケースで、過去に処罰された公務員の事例を見てみると――。

 2013年、埼玉県坂戸市の学校教育課職員が市立小中学校の理科の実験用教材を約107万円で購入したところ、購入費は同名の別会社に誤送金された。その際は、学校教育課長と会計課長に訓告、教育部長や同次長ら教委職員8人と会計科員2人は厳重注意された。

 2009年、愛知県半田市で物品購入費や公共工事費など計1億3800万円が219件の事業者に誤送金された件は、新たに導入した財務会計システムの不備が原因とされた。システムの確認作業などが不十分だったとして、会計管理者と会計課副主幹、同課主査、企画部広報課広聴課長などが口頭注意された。

 阿武町では、何人の職員が処分されるのだろう。

「振込を担当した職員とその上司にあたる出納室長、そして町長と副町長、少なくとも4人には何らかの処分が行われることになるでしょう」(米津町議)

デイリー新潮編集部

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