山口県阿武町「4630万円誤振込騒動」 知人が語る“ロン毛で無口”24歳ネコババ男の二面性

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限界集落にあったTの自宅

 そればかりではない。阿武町の自宅からも忽然と姿を消してしまった。提訴翌日の13日、記者もTの自宅を訪ねた。築50年以上は経っていそうな古い日本家屋だが、一人で住むには大きすぎる大邸宅である。車もなく、何度呼びかけても応答がない。窓はカーテンや雨戸で締め切られており、中の様子はまったく窺い知れなかった。

 庭は雑草が伸び膨大で、プランターなどが雑然と散らばっている。隣町に住む大家(70代)によれば、一昨年の11月、Tは知人の紹介で町の「空き家バンク」制度を利用して移り住んできたという。

「愛想のいい真面目そうな男の子ですよ。先月の中頃に家の近くで会った時も、彼はわざわざ車から降りてきて『こんにちは』と挨拶してきました。特に変わった様子は見受けられなかった。あの家は、もともと私の実家で、空き家になっていた。彼に住んでもらえば維持管理も楽だし、家賃収入も得られると喜んでいたのですが、こんなことになるとはね。表面と内面がこんなにも違う青年だったんだと驚いています」

 家賃は月2万5000円。毎月、銀行振込で、これまで振込が遅れることは一度もなかったという。

「去年くらいまでは、草取りもしっかりしていたんですがね。農作業にも興味があったのか、何か作物を育てていたようでした。他の人間の出入りを見たことは一度もありません」(同)

痩せ型のロン毛

 山間に佇むTの自宅は限界集落の一角にあり、人が住む隣家までは数百メートル離れている。昼間訪れると雄大な自然を前に心が和むが、夜になれば一帯は闇と静寂が支配する。24歳のTは1年半あまり、この家に一人で暮らし、車で40分ほど離れた隣町のホームセンターに勤務していた。正社員で給与は月25万円くらい。同僚によれば、多少遅刻があった程度で、勤務態度は決して悪くなかったという。

「背丈は170センチくらい。痩せた体型で、髪は肩くらいまで伸ばしていました。山口県のどこかから移住してきたと話していましたが、進んで自分の話をするタイプではなかったので、記憶に残っている話はありません。決して暗くはないんですが、友達がいなさそうなタイプだと思います。休みはいつも家で寝ていると話していました」

 4月半ばに阿武町の職員二人が店まで訪ねてきた後、変化が見受けられたという。

「急にイライラした様子を見せるようになった。20日になって店長に『阿武町の誤振込の件は自分だ。店に迷惑をかけるので辞めます』と打ち明けたと聞いています」(同)

 母親も連絡が取れない状況になっているというT。なぜ、こんな騒ぎを起こしてまで返還に応じようとしなかったのか。そして、カネはどこに消えたのかーー。人口3000人の町で起きた大騒動の出口は、まだ見えてこない。

デイリー新潮編集部

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