錦鯉もカミナリも…漫才協会に入る若手芸人が急増中 吉本一強に風穴の東京お笑い事情

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ベテランの芸人が集うワケ

 そんなナイツの活躍を見て、少しずつ漫才協会に入る芸人が増え始めた。磁石、三拍子、ハマカーン、エルシャラカーニといったコンビ歴15年を超える実力派の漫才師をはじめ、にゃんこスター、小島よしお、はなわ、コウメ太夫といったバラエティ豊かな人材が続々と入会している。最近では、錦鯉やカミナリも加わった。漫才師ではなくても、芸人であれば所属はできるという方針のようだ。

 ライブに出る回数が限られている吉本以外の東京の芸人にとって、常設の寄席に出演できるというメリットは大きい。特に、東京のお笑いライブの多くは伸び盛りの若手が中心になっていて、ある程度の芸歴を重ねるとライブに呼ばれにくくなるため、ベテランの芸人にとっては漫才協会はありがたい存在なのだ。

 ナイツの塙は漫才協会の副会長として、積極的に芸人を勧誘したり、漫才協会を広めるための活動を行っている。最近では、塙にとって漫才協会の大先輩にあたる大御所漫才師の「おぼん・こぼん」が、「水曜日のダウンタウン」の仲直り企画に出演して話題になったこともあった。この企画がきっかけでおぼん・こぼんの名前が若い世代にも広まり、寄席には観客が詰めかけるようになったという。

 お笑い界は長く吉本興業の一強体制にあった。そんな中で、吉本以外の事務所の芸人がキャリアの差を超えて一丸となって組織されている「漫才協会」は、対抗勢力として順調に育ってきている。今後も東京の漫才シーンを牽引する存在となるだろう。

ラリー遠田
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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