ウクライナ侵攻で慌ててドローン研究に着手の防衛省 尖閣諸島の偵察さえできない残念な内情

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 産経新聞(電子版)は3月30日、「防衛省が攻撃型ドローン研究へ ウクライナ侵攻で存在感示す」との記事を配信した。翌31日の1面でも、同じ内容の記事が掲載された。担当記者が言う。

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「ウクライナ軍はトルコ製ドローン『バイラクタルTB2』をフル活用し、ロシア軍を苦しめました。防衛省も戦果に注目し、研究を開始するというのが記事の骨格です。ちなみに産経新聞は記事で、防衛省の対応が慎重すぎるとも指摘しています。はっきりと書いているわけではありませんが、やんわりと匂わせています」

 例えば、記事の末尾には、以下のような記述がある。

《防衛省は来年度予算で小型の攻撃型ドローンの有効性や諸外国の機体などに関する調査費3000万円を計上したが、「運用のあり方から研究する」(担当者)段階だ》

 僅か3000万円、と驚いた方も多いだろう。さる軍事ジャーナリストも、「軍事用ドローンに関して、自衛隊は大きく後れを取っていることが、ウクライナ侵攻で明らかになりました」と言う。

「アメリカは攻撃型にも偵察型にも多額の予算を投じ、開発と整備を進めています。ロシアは偵察型の『オルラン10』というコストパフォーマンスの高いドローンを実戦配備し、ウクライナ侵攻でも活用しています。両国に比べると、日本の自衛隊は兵器用ドローンの開発に関して、完全に後れを取ってしまいました。国防上、危機的な状況だと言わざるを得ません」

“民間”嫌いの自衛隊

 なぜ自衛隊はこれまでドローンを活用しようとしなかったのか、その理由は、民間軽視という“悪しき伝統”が影響したという。

「自衛隊の幹部は、『自分たちはプロフェッショナルの集団だ』という自負が強すぎるのです。プライドの高さが良い結果を生むこともありますが、民間の最新技術を軽視するという悪しき伝統の原因にもなっています」(同・軍事ジャーナリスト)

 陸軍ならどこの国でも、「近接戦闘訓練」あるいは「室内戦闘訓練」を行う。ビルの一室といった狭いところで敵味方が遭遇した場合、その戦い方を訓練するのだ。

「この分野に関しては陸軍より警察や民間SPのほうが、経験やノウハウも持っていることが珍しくありません。アメリカ陸軍は、その点は非常に合理的で、近接戦闘訓練では当たり前のように民間の外部講師を招き、訓練の指導を依頼しています。陸上自衛隊でこうしたことはあり得ません」(同・軍事ジャーナリスト)

 プライドが高いため「民間に頼むなんてカッコ悪いことできるか」という考えになってしまうようなのだ。

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