知床遊覧船事故 情報が遅すぎて家族の苛立ちはピークに…「海保の仕切りの悪さ」で大混乱

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「なんで情報がこんなに遅いんだ!」。北海道・知床半島の沖合で観光船が消息を絶った海難事故で、安否を心配する家族たちの疲れや苛立ちは頂点に達している。本来、誰よりも矢面に立たなければならない運航会社の社長は、いまだ記者会見すら開かないまま。現場の記者たちからは、捜査や家族と記者への対応に当たる第1管区海上保安本部の”仕切りの悪さ”を指摘する声も上がっている。

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ようやく「足組み社長」が記者会見へ

 遊覧船「KAZU 1(カズワン)」が出港したウトロ港近くでは、乗客の家族向けに毎日3回の説明会が開かれているが、運航会社「知床遊覧船」の桂田精一社長(58)が出席したのは初回のみ。しかも、「足を組んでいた」「スマホばかり触っていた」という不遜極まりない態度だったため、家族たちの怒りを買った。

 事故発生5日目の27日午後にようやく記者会見を開くことが決まったが、遅きに失している。26日に現地視察に入った渡辺国交副大臣も逃げ回る社長に対し、「義務として説明しなければいけない」と強い不快感を示していた。

 家族たちがいま最も欲しがっているのは安否情報である。だが、26日現在、11人見つかった遺体のうち、身元がはっきりしたのは7人のみ。説明会の会場からは「なんでこんなに情報伝達が遅いんだ」という家族たちの怒号が漏れ伝わってくるという。地元記者はこう呆れる。

「私たちも小樽にある第1管区海上保安本部に詰めかけて、身元情報を求め続けているんですが、総務部長から出てくる言葉のほとんどが『確認中』『何もない』だけ。26日昼頃、7人という数字が出てきたのも、地元・斜里町の副町長がぶらさがり取材のなかで明かしたもので、海保からの情報は3人で止まったままだった。こういう時は、遺族やメディアに正確な情報を適宜出し続けることが肝要なのですが、はっきり言って海保はこういう現場に不慣れなため、仕切りが悪すぎるんです」

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