対プーチンだけではない…自衛隊が直ちに人員を増やすべき理由 防衛省の採用戦略は間違い?

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深刻な人員不足

「大きな災害に自衛隊が対応したのはいいが、防衛が手薄になっては意味がありません。被災地に派遣する自衛官の人員も充実しているし、ロシアや中国の行動に睨みをきかせる人員も確保している。これが理想型であることは言うまでもありません」(同・国会議員)

 共産党の志位和夫委員長は4月7日、「急迫不正の主権侵害が起こった場合には、自衛隊を含めてあらゆる手段を行使して、国民の命と日本の主権を守りぬくのが党の立場」と発言した。

 自民党など各党からは「自衛隊の解消を掲げる綱領と矛盾している」と批判の声が上がった。

 ちなみに、これらの批判に志位委員長は反論を行った。いずれにしても、与野党を問わず、国会で防衛の問題を真剣に考える流れになっているのだとすれば、有権者としては歓迎すべきだろう。

 さる軍事ジャーナリストは「自衛隊の人手不足はかなり深刻です」と言う。

「様々な対策が講じられています。例えば、海上自衛隊が新造している『もがみ型護衛艦』では機械化や自動化を推し進め、乗組員の数は90人と、従来の護衛艦の半分です。また3隻の護衛艦に対し、4班の乗組員を充てています。1班が休む間、3班が3隻の護衛艦を動かすわけです。人員が少ないため、護衛艦を“共有”することで乗り切ろうというわけです」(同・軍事ジャーナリスト)

間違った“リクルート戦略”

 とはいえ、景気は良くない。自衛官の募集には、それなりの数の若者が応募してくるという。

「ただし最近は、『災害派遣で被災者を助けたい』という志望動機の人が非常に多いんですね。もちろん自衛隊の本業は、日本国の防衛です。陸上自衛隊なら、射撃や塹壕掘りが重要な訓練であることは言うまでもありません。ところが兵士としての訓練を受けると、『こんなはずじゃなかった』と除隊する若者も増えているのです」(同・軍事ジャーナリスト)

 非は応募者だけにあるわけではない。防衛省も募集の広告などで、災害派遣を前面に押し出すことも珍しくないからだ。

「80年代までは革新勢力が強く、自衛隊を白い目で見る有権者も一定数いました。それでも被災地に派遣されると、地域住民から『ありがとう』と礼を言われて感激した自衛官はたくさんいました。そうした過去があったことから、最近は『困っている人を助ける自衛隊』というイメージ戦略を全面に出し過ぎのような気がします」(同・軍事ジャーナリスト)

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