「服を脱げ」子どものすぐそばで母親を強姦、父親は銃殺 ロシア兵の許されざる蛮行

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マリウポリを落としたい理由

 だとすると、平和ボケ日本で巻き起こった降伏論をものともせず、首都に留まり徹底抗戦を続けたゼレンスキー大統領の“勝利”は近いようにも思える。しかし無論、ことはそう簡単には運ばない。先の4月4日付の朝日新聞が〈苦戦ロシア〉の見出しに〈東部攻勢〉と続けたように、目下、ロシア軍はキーウを諦め、代わりに東部のドンバス地方、とりわけドネツク州の主要都市であるマリウポリの制圧へと舵を切っているのだ。

 佐々木教授が続ける。

「キーウからの撤退はロシア軍の戦費がかさんでいることに加え、以前から重要視していたマリウポリを陥落させる狙いからでしょう。マリウポリを落とせば、ロシア本土とクリミア半島が繋がり、“一定の成果”をあげたことになります。プーチンとしては、ウクライナに進軍した意義を証明するために何らかの成果を残さなければならない。したがって、是が非でもマリウポリは落としたいのです」

 つまり戦略の比重が首都から東部に移っただけで、プーチンの戦争がもたらす惨劇が終わったわけではないということになる。

プーチンが目指すのは5月9日までの“勝利宣言”か

 防衛研究所主任研究官の山添博史氏はこう見る。

「当初、プーチンに正しい情報が上がっていなかったとの指摘がありますが、現在、事態は改善されている可能性が考えられます。現状をリアルに認識できているからこそ、東部に戦力を集中するという判断ができているようにも見える。ロシア軍が立て直しを図っている可能性を甘く見ないほうがいいでしょう」

 それゆえに、

「プーチンは対ナチス・ドイツ戦勝記念日である5月9日までに、何が何でも“勝利宣言”に踏み切るに違いない」(前出記者)

 という説がささやかれるわけだが、国際政治学を専門とする日本大学危機管理学部教授の小谷賢氏は今後の戦局をこう見立てる。

「ロシアは経済制裁が効いているのに対し、ウクライナも食糧や武器等のストックが厳しくなっていて、このままでは数カ月は持たないと思います。したがって、お互いに長期戦は望んでいないはずです。こうした微妙な均衡状態を打破するために、ロシアには生物・化学兵器を使うという選択肢が残っている。ウクライナ軍が巻き返しているとの報道もありますが、ロシア軍も今後東部への本格攻勢を再開すると予想されますので、ひたすら守り続けるしかないウクライナは依然としてかなり厳しい状況に置かれているといえるでしょう」

 ウラジーミル・プーチン。「狂者」が「強者」であるという残酷な現実……。父親にドーナツをと願う4歳の男児のためにも、我々はこの狂気じみた権力者の名を「悪魔の代名詞」として胸に刻み続けるしかない。

週刊新潮 2022年4月14日号掲載

特集「戦場で女性への凌辱も…プーチンが量産『性暴力』『大虐殺』の地獄絵図」より

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