解散発表「JBC」が「新団体」設立で延命工作 再建のカギを「東京ドーム」が握る理由

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受け皿団体をコッソリ設立

 JBCが解散を内部で決定したのは今年2月のことだった。決算の数字が出揃い、解散は不可避であるのが明らかとなったためであり、亀田裁判の賠償命令が理由ではない。しかも、その裏で、3月14日に永田理事長が代表理事に就く『一般社団法人JBC』が設立されていた。所在地は現在のJBCと同じである。

「新法人はJBCの業務を引き継ぐための受け皿団体としてつくられた。社団法人としたのは公益財団や一般財団と比べ、より簡単に設立できるからです。しかし、この団体が後継団体となると、永田氏がそのまま代表に居座り続けることになりかねず、さすがに内部からも“無責任だ”や“モラルハザードの極み”といった声が挙がっています」(同)

 今回の一件だけでなく、20年の大晦日に行われたWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチをめぐり、王者・井岡一翔選手にドーピング違反の疑いがかけられた騒動では、JBCの杜撰な検体の管理体制が原因だったと結論付けられている。この時もJBCは大きな批判を浴びたが、永田理事長はその後も理事長の座にとどまり続けた経緯がある。

「再建には収入増を担保することが必要だとして、JBCは日本プロボクシング協会にライセンス料の値上げなどを求めていく意向です。ただし度重なる不祥事にも体制刷新することなく、現執行部が牛耳るJBCに協会の不信感は根強く、実現は簡単ではない」(同)

 実際、JBCの収入のおよそ9割は、選手のライセンス料や試合の承認料など、協会からの業務委託費が占めている。

支援を打診された東京ドームの胸中

 そこで現在、永田理事長らは東京ドームに2億円程度の支援を求めているという。JBCは東京ドーム所有のビルに間借りしており、代々、東京ドームのトップがJBCのコミッショナーを務めるなど両者は親密な関係にある。

「東京ドームが2億円程度を資金援助してくれれば、亀田氏側への賠償金のほか、公的金融機関からの借り入れ分も含め、すべての債務をチャラにでき、身軽になって再スタートを切れる。しかし亀田裁判で“違法行為”を認定された団体に易々と救いの手を差し伸べれば、今度は東京ドームが“延命に手を貸した”と批判を浴びかねない。だから対応に苦慮していると聞きます。東京ドームが手を差し伸べてくれなければ、支援先探しは難航必至で、再建プラン自体、白紙となりかねません」(同)

 東京ドームに訊ねると、
「支援の打診はいただいております」
 と認めたうえで、資金援助するかどうかについては、
「(JBC側の)再建策を拝見した上で検討していきたいと考えております」
 と明言は避けた。

 一方のJBCは取材に対し、社団法人を設立したことについては、「将来(JBCを)財団ではなく社団法人化することを視野にいれ」たものであると回答。東京ドームとの交渉内容や永田理事長の進退などについても質問したが、「現在の債務超過を解消させるべく支援者探しと再建策を作成して関係各所との協議をしているところです」と答えるのみだった。

 再生への道のりは平坦ではないようだ。

デイリー新潮編集部

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