解散発表「JBC」が「新団体」設立で延命工作 再建のカギを「東京ドーム」が握る理由

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「世紀の一戦」として注目を集めた村田諒太VSゴロフキンの世界ミドル級王座統一戦。その試合のローカルコミッションを務めたのが先日、「解散」を発表した一般財団法人日本ボクシングコミッション(JBC)だ。再建を誓うJBCだが、その先行きには早くも暗雲が垂れ込めている。仮に“法人消滅”となれば、プロボクシング興行にも大きな影響を与えるため、関係者は固唾を飲んで成り行きを見守っている。

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 3月31日、JBCは法人を解散して清算手続きに入ったことを表明した。1952年に設立されたJBCは、国内のボクシング興行の運営や管理、選手のライセンス承認などを行うプロボクシングの統括団体。

「JBCの永田有平・理事長は“コロナ禍による試合の減少で財政が悪化した”ことを理由に挙げ、“2020年度は3000万円、2021年度は2600万円の赤字”だったと話した。今後、JBCは支援先を見つけて法人の存続を目指す考えで、4月中にも再建計画をまとめる方針です」(専門誌記者)

 JBCの純資産に当たる正味財産は20年度末時点で約2500万円のマイナス、21年度末で約4000万円のマイナスだった。純資産が2年連続で300万円を切った一般財団法人は解散することが法律で定められており、現在のJBCは清算法人として業務を継続している状態だ。

4月9日に開催されたWBA世界ミドル級スーパー王者の村田諒太とIBF同級王者ゲンナジー・ゴロフキンとの王座統一戦も、プロモーターや認定団体の協力を得て清算中のJBCが試合の管理・運営を行った。

1億4000万円の純資産が消失

 JBCをめぐっては、元世界王者の亀田興毅氏らとの訴訟も話題になった。亀田氏側は所属ジム会長の資格更新をJBCが認めず、国内試合ができなくなったとして損害賠償を求め、2月の東京高裁判決ではJBC側に約1億円の支払いが命じられたばかりだった。

「亀田3兄弟への賠償金支払い命令がトドメを刺したのは事実ですが、“コロナ禍による収入減”に加え、実際はコロナ前にすでに“財政破綻”していたのです」

 と話すのはJBC関係者だ。

「正味財産は10年前には約1億4000万円ありましたが、この間、亀田裁判以外にも複数の職員から地位確認訴訟や不当解雇撤回を求める労務訴訟を起こされ、すべてで実質“敗訴”。その和解金や弁護士費用などが億を超え、19年度の時点で正味財産は300万円にまで激減していました」(同)

 この関係者によれば、JBCがコロナ禍を理由に試合を閉じていたのは20年の春から半年ほどといい、その後は減少こそしたものの試合自体は行われていたという。

 昨年度のJBCの正味財産はマイナス4000万円。無い袖は振れない状態にあるが、すでにJBCの口座の一部は亀田サイドに差し押さえられているという。

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