異国にたった一人で…米国にゴルフ留学中のウクライナ人女子大生を奮い立たせた一枚の写真
恩師が戦闘服に身を包み、銃を持って
今にも心が折れそうになっていた彼女に変化が訪れたのは、母国のゴルフ連盟がインスタグラムで紹介した、ある1枚の写真を目にしたときからだった。
そこには、エルさんが幼少時代から母国でゴルフを指導してもらった恩師が戦闘服に身を包み、銃を持つ姿があった。
「今、コーチはウクライナのために武器を手にして戦っている。それが現実です。私はそんなコーチを誇りに思います」
エルさんの父親は、その後、キエフに戻り、自宅と自身のビジネスを守るためにキエフに留まっている。近隣に住む人々が必要としている物資を集めては配り、ポーランド国境へ向かおうとしている人を見つけたら、たとえ見知らぬ人であっても、自分の車に乗せて送り届けている。
エルさんの母親も方々へ手を尽くして医薬品や乳幼児用に必要となる製品を集め、夫であるエルスさんの父親に手渡して、キエフの人々に配っているそうだ。
自宅の家具に火を付けて
「私の両親はウクライナの人々の助けになろうとしている。そして、たくさんの人々が、私の両親と同じように、自らの財産を投げうって、ウクライナの人々を救おうとしている」
それを知ったエルさんも、動き出した。米国に身を置く自分にできることは何かを考え、クラウドファンディングで支援金を募ろうと決意した。
「キエフ近郊に住む私の友人たちは、寒さの中、暖を取るために自宅の家具に自ら火を付けて燃やしています。みんなその日の食べ物を買うお金もなくなって、とても苦労している。せめて私は寄付金を集め、それを送ることで、みんなの役に立ちたい」
そう思い立ったことで、エルさんの心は、ようやく前を向いたそうだ。
「これが、現実。これで、みんなが1つになれる」(エルさん)
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