巨人が圧倒的有利に…セ・リーグ「DH制導入」に現役、OB、スカウトの賛否は?

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国際大会でもDH制だが

 長引いていた労使交渉がようやくまとまり、4月8日の開幕が決まったメジャーリーグだが、今年大きな注目を集めているのが、ナ・リーグの指名打者制(DH制)の導入である。このことにより、昨年「投打の二刀流」で、ア・リーグのMVPを獲得した大谷翔平(エンゼルス)は、ナ・リーグの本拠地で行われる交流戦でもDHで出場することが可能になることから、さらにホームラン数を伸ばすことも期待される。【西尾典文/野球ライター】

 こうしたメジャーリーグの改革が、日本球界のセ・リーグに波及する可能性がある。ご存じの通り、セ・リーグではDH制を導入しておらず、投手がバッターボックスに立つ。しかしながら、世界の主要なリーグで、いまだにDH制を導入していないのは、セ・リーグのみだ。

 韓国や台湾のプロ野球、そして国際大会でもDH制が採用されており、セ・リーグは“世界の潮流”から取り残されている。巨人が2020年オフ、セ・リーグの理事会でDH制導入(この時は2021年シーズン期間限定)を提案したことがあったが、他のセ・リーグ5球団が反対したため、導入が見送られた。ただし、今後、ナ・リーグの動向を見て、再び議論されることも十分に考えられる。

「実は投手に対して投げづらい」

 実際、現役のプロ選手やOBは、セ・リーグのDH制導入について、どう考えているのだろうか。ある現役投手は「賛成」としたうえで、こう続けた。

「バッティングが良い投手には、『残念』という声はあるかもしれませんが、全体的には反対は少ないと思います。最近は、高校や大学でも、ピッチャーは基本的に投手としての練習しかしていないことが多いですし、打席に立たなくて良い方が当然、ピッチングに集中できます。投手に代打を送る駆け引きといった醍醐味がなくなるという声もありますが、DH制の方が、そういった急な展開がない分、リリーフ投手にとって準備しやすいですよね」

 ただ、DH制を導入すれば、それだけ力のある打者がラインアップに加わることで、投手が打ちとることが厳しくなると想定される。この点については、以下のような意見も聞かれた。

「投げている側からすると、投手を相手に投げるというのもやりやすいものではありません。周りやファンからは打ちとって、当然だと見られますし、その中でヒットを打たれたらダメージも大きい。だからといって、厳しいコースに投げて、死球にもしづらい。自分もそうでしたが、実は投手に対して投げづらいというピッチャーが結構いると思いますよ」(投手出身のOB)

 筆者が大規模なアンケートを行ったわけではないので、あくまで参考意見に留めて頂きたいが、複数の関係者に取材したところ、DH制導入に肯定的な意見が多い印象を受けた。また、野手にとっても、DH制導入によって出場機会が増えることは間違いなく、反対意見は少ないようだ。

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