“よき敗北者”の星稜が壁を乗り越えた…マーガード真偉輝キアンの好投と「トリックプレー」で天理を翻弄

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「今までの星稜の歴史を変えてくれた」

 この言葉からも分かるように、松井や奥川のような“絶対的な柱”がいないからこそ、上手くいかないプレーがあってもチームとしてカバーしようという気持ちがより強く、それが良い方向に出ているようだ。

「(二回戦に向けて)強豪の天理さんに勝てたことは非常に自信になりましたので、次の試合もしっかりと戦いたいと思います」(林監督)

 かつて、前出の松井は、19年夏の準々決勝で、星稜が智弁和歌山と対戦し、延長14回の死闘を制した際に、こんなコメントを寄せている。

「今までの星稜だったら、智弁和歌山に負けて終わり。甲子園での死闘は必ず敗者になった。あの試合に勝てたことは、今までの星稜の歴史を変えてくれたと思います」(スポーツニッポン、2019年8月22日配信)

 この日の天理戦での勝利もまた、チームの歴史に“新たな1ページ”を刻んだといえるだろう。2回戦以降も、大きな壁を超えた星稜の戦いぶりに注目だ。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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