京都国際の出場辞退、「長すぎる開会式の挨拶」でトラブルも…センバツで問われる問題点

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13人という大量の陽性者

 雨天順延により、1日遅れて3月19日の開幕となった第94回選抜高校野球大会。天候よりも大きなニュースが開幕を控えた17日の夕方に飛び込んできた。昨年春から3季連続での甲子園出場となり、優勝候補の一角にも挙げられていた京都国際(京都)が部内13人の新型コロナウイルス感染を理由に出場辞退すると発表されたのだ。【西尾典文/野球ライター】

 昨年夏の甲子園でも宮崎商(宮崎)と東北学院(宮城)が出場辞退となったことを受け、今大会では少人数の陽性者が出た場合でも出場を認める方針だったが、13人という大量の陽性者という影響の大きさから苦渋の決断となった。

 昨年夏の甲子園大会直前に部員が新型コロナウイルスに感染し、大会前、大会中もあらゆる対応に追われた作新学院の岩嶋敬一部長に話を聞いたところ、当時の苦労を以下のように語っていた。

「地方大会でも東海大相模さんや星稜さんも辞退されていたので、本当に気を遣いました。大阪入りしてからも、雰囲気はいつもと違いましたね。選手には野球に集中してもらいたいので、余計なストレスはかけないようにとは思って接していましたが、雨での順延もあってなかなか思うように練習もできない。色んな精神的負担は溜まっていたと思います。とにかく最初の試合を全うできるようにというのを常に考えていました、残念ながら初戦(2回戦)で負けてしまいましたが、大会が終わった後はとにかく疲れたなという感じでしたね」

残念なのは出場がカウントされない

 作新学院は去年まで中止となった大会を挟んで10回連続夏の甲子園に出場しており、岩嶋部長は甲子園を知り尽くしたベテラン中のベテラン指導者だ。それでもコロナ禍で行う甲子園がいかに大変だったかというのが言葉の端々から感じられた。

 京都国際を指導する小牧憲継監督は「対戦相手の長崎日大、代わりに出場する近江にご迷惑をかけたと謝罪しました」とコメントしているが、昨今の社会情勢を考えると致し方ない部分が多いことは間違いないだろう。

 小牧監督のコメントにもあるように、大会開幕前ということもあって近畿地区の補欠校である近江(滋賀)が繰り上がりで出場することとなったが、一つ残念なことが、京都国際の今大会への出場がカウントされないという点だ。

 日本の野球界で甲子園に出場したという点は大きな実績であり、プロ野球の選手名鑑にも出場経験の有無が記載されているケースが多い。また、大学への進学にとっても大きなプラスポイントとなると言われている。

 京都国際は先述したように、3季連続の出場ではあるが、この春に初めてベンチ入りを果たした選手も多いだけに、今回に限っては特例を認めて、出場回数だけでもカウントするなどの措置を考えてもよいのではないか。京都国際の朴慶洙校長、小牧監督はともに「選手のケアをしっかりしたい」という旨のコメントを残しているが、学校だけでなく大会本部からも何かしらの対応があっても良いのではないだろうか。

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