日本のマスコミや専門家の予想に反して…尹錫悦新大統領で日韓関係は改善する根拠

国際 韓国・北朝鮮

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 韓国で保守野党の尹錫悦氏が、第20代大統領に当選した。5月10日に正式に就任する。日韓の空気は劇的に改善する、韓国は衰退と崩壊の危機をとりあえず脱した。韓国は法治国家に向かう。日韓首脳同士の信頼も回復する。韓国は中国・北朝鮮に傾いた革新派(左派)政策から、日米との同盟・友好関係に復帰する。日本と韓国は外交、安保、経済政策で協力に向かう。その展望を説明したい。

「情治国家」から自由民主主義へ

 韓国は法治国家ではない。自由民主主義国家でもない。大統領の意向が優先される「人治国家」「情緒国家」だ。文在寅政権の「国際法違反」も、反日感情優先の「情治国家」と指摘された。尹錫悦新大統領は、「法治国家」と「自由民主主義」の回復を目指す。自由民主主義国家なら、日本を擁護する言論や報道も許される。

 また、尹錫悦大統領はわずか0.7%の票差で当選したため、反対勢力が強く政権運営は行き詰まる、との観測がある。これは、韓国の政治文化を知らない指摘だ。韓国の政権は、発足当初に「怖い」と思わせないと、野党や反対勢力に甘く見られ政権は揺さぶられる。李明博政権と朴槿恵政権がそうだった。

 だから、尹錫悦政権は文在寅政権高官や左派勢力の不正を暴き、逮捕するだろうし、メディアに不正腐敗の事実をリークする。文在寅大統領の家族や李在明氏の家族に対して、不正の捜査が始まるだろう。尹氏は、政治報復はしないが法に従って処理する、と明言している。

 大統領選挙投票日の直前に、候補のテレビ討論が行われた。司会者が「大統領になったら、米中日北の指導者に、どの順序で会うのか」と聞いた。これは、かなり意地悪な質問だ。

 司会者は、尹錫悦氏が「米中日北」と答えるだろうと、予測した。有権者の「反日意識」にこびるからだ。中国を日本の前におけば、世論が満足し反発を受ける危険が少ないが、事大主義と批判される。一方、与党の李在明氏は「北中米日」と答えるのではないか、と期待した。これでは、米韓同盟は崩壊し米国は怒るが、日本を最後にすれば左派勢力は納得する。

 ところが司会者の期待に反し、尹氏は「最初にアメリカの大統領、次に日本の首相、3番目に中国の国家主席、最後が北朝鮮の委員長」と答えた。これを聞いた野党関係者は、「まずい」と声をあげた。日本を2番目にすれば反発され、反日の有権者が離れると心配した。

「日本は重要な国」は一貫した発言

 日本では、このテレビ討論は放映されないから日本人は知らなかったが、尹錫悦大統領が信念の指導者であることを物語る事実だった。彼は、大統領選出馬会見の最初から「日韓関係改善」を宣言し、最後までこの態度を変えなかった。「日本は重要な国」と述べれば、票を失うと周囲は心配したが、「韓国は日本との関係なしには発展しない」との主張を曲げなかった。文字通り「信念の人」である。

 テレビ討論での尹氏の明快な答えに対し、李在明氏は答えを拒否した。司会者や取材記者は、左派勢力を満足させるために「最初に北朝鮮の金正恩委員長、2番目に中国の習近平主席、3番目に米国のバイデン大統領、最後に日本の岸田首相」と言うと予測したが、答えを拒否した。

 日本のメディアや専門家の多くは、尹錫悦新大統領の誕生で日韓関係が改善に向かうのは難しいとの分析を報じた。国会が左派に握られ、首相や閣僚の指名に反対し、政局を混乱させると見られている。そうなれば日韓関係改善どころではない、と学者や専門家の多くが指摘する。

 実は、韓国の政治を語る日本の専門家の多くは、日本政治や日本経済についてよく知らない。つまり政治、経済の専門家ではない。日本の産業施設を視察したこともない。永田町や首相官邸を取材、研究した経験もない。政治や経済の「シロウト」である。

 だから彼らの見通しに疑問を示し、尹錫悦新大統領は日韓関係を改善する、と私は指摘したい。なぜなら、韓国の民主化以後に、日本の重要さを指摘したのは金大中大統領以外では、尹錫悦氏だけなのだ。相当な勇気と信念の政治家だ。歴史を振り返っても、日本は大切な国だと明言したのは、朴正煕大統領と尹錫悦新大統領しかいない。金大中は、北朝鮮の指導者を支援した。

 盧武鉉、李明博、朴槿恵、文在寅の直近四人の大統領は、誰も日韓関係改善に言及もせず、取り組みもしなかった。信念と勇気もなく、事態を悪化させた。文在寅氏については、今更言うまでもないだろう。

 保守派の李明博大統領は、韓国大統領として初めて竹島に上陸し、日韓関係を台無しにした。日本大使館は、大統領の竹島上陸情報入手に遅れ、阻止することすらできなかった。日本外交の歴史的大失敗であった。朴槿恵大統領は、左派から父親の民主化運動弾圧とそれによる犠牲を攻撃され謝罪したから、「日本は重要」と言う勇気も気力もなかった。「親日派」として攻撃されるのを恐れた。

 元徴用工判決で韓国最高裁は、日本企業に慰謝料の支払いを命じた。こんなトンデモ判決は、大統領の指示がなければ出せないのが、韓国司法の常識だ。少なくとも、大統領の暗黙の了解があったはずだ。これでは、自由民主主義ではない。

 だから、日韓関係悪化は文在寅大統領の「犯罪」なのだ。それを、韓国政府は「司法の判断」とうそぶいた。この「ウソ」を日本の学者や取材記者は指摘せず、真実を伝えず黙認した。日本の新聞と学者が、文在寅政権の「司法の判断はウソ」と真実を言えば、韓国のメディアもこれを報道するから、日韓関係はこれほど悪化しなかった。

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