青森山田高サッカー部で「飲酒問題」隠蔽か、部員が証言 「冷蔵庫にビール、チューハイが」

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青森県は「報告はありませんでした」

 学校側の「対応」が、部員から「不祥事を都合よく隠蔽している」と捉えられているのだ。

 未成年の飲酒事案について、スポーツ評論家の玉木正之氏がこう指摘する。

「高校生がお酒を飲めば、法律違反なので処分しなければいけませんが、凶悪事件ではありません。ただ、隠蔽しようとしたのであれば、それは教育上良くない。生徒は、“悪いことをしてもバレなければいいんだ”と感じてしまいますし、校内の説明が不十分なら、悪い憶測が飛び交い、かえって生徒のためになりません」

 飲酒が発覚した場合の対応について、青森県サッカー協会によれば、

「義務はありませんが、規律に違反したのであれば報告していただきたいと考えています。報告を受けたら該当の高校に詳しい調査を求め、協会の第三者機関で活動停止や当該選手の出場停止を検討します。また、飲酒であれば重大な事案なので、日本サッカー協会に最終的な判断を仰ぎます」

 やや大仰な感もなくはないものの、青森県総務部の担当者は、

「生徒さんが退学・停学するような不祥事が発生した場合、各私立高校に対して、報告してくださいという要請を行っています。厳密な義務があるわけではありませんが、青森山田に関しては報告はありませんでした」

 さて、一連の事実について確認すべく黒田監督を直撃すると、

「えっ……」

 と絶句し、

「俺、直接関わっていないから、わからないんだけど。隠蔽じゃなくて……。最高責任者じゃないんで。学校には校長がいるし……」

校長は「飲酒は事実」と認めるが……

 しどろもどろの監督に代わり、青森山田高校の花田惇校長が取材に応じた。

――昨年2月、寮内の冷蔵庫からお酒が見つかった。

「それは事実です。残念ですが、飲酒の量は非常に少なく、口をつけたくらいだろうと報告を受けています。飲酒については我々も見ていたわけではありません。ただ、置いてはいけないものがあった。事情を聴き、精査した結果、反省文を書かせ無期の停学処分にしています。処分した人数は10人前後。昔であれば退学処分でしょうけれど、いまは子どもの将来も考えなくてはいけません。停学は3週間で解除しました」

――飲酒が常態化していたのか。

「ないと思います。もし常態化していれば、私がまったく把握できていないことになり、非常に残念な話になります」

――監督が隠蔽を指示したことは?

「そんな指示はないと信じています。隠蔽しても隠しきれると思っていませんから。サッカー協会や県に対して報告はしていません。退学の場合は報告しなければいけませんが、停学処分の場合はそうした義務はありません。(停学処分を受けた部員の保護者には)疑わしき事実があったから処分しましたという内容を伝えています。他の部員の保護者には伝えていません。教育的配慮から、総合的に判断しました」

 後日、改めて校長から書面で回答があった。

「停学処分を隠蔽したということは全くありません。学校ですから、間違ったことがあれば正しく指導し成長を見守ることが最も重要です。そういった観点からも特に公表するという事柄ではありません」

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