ウクライナ侵攻で世界各国の諜報機関がSNSに齧り付いている…「こたつCIA」の驚くべき実情

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 在日ウクライナ大使館の公式Twitterは2月24日、ロシア軍のミサイルがウクライナ国内の国際空港施設に命中し爆発する映像をリツイートした。

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 Twitterに動画を投稿した人物のアカウントには、博士課程の学生という経歴や、ロシアの外交や軍事学が専門、などと書かれている。動画については以下のような説明が付記されていた。

《伝えられるところによると、イヴァーノ=フランキーウシク国際空港を攻撃するクラブ巡航ミサイル》

 担当記者が言う。

「この国際空港は西ウクライナの“玄関”とも言われています。動画は14秒で、小さな長細い物体が飛行する様子を捉えており、カメラから物体が消えてしばらくすると遠方で爆発が起き、真っ赤な炎が立ちあがります。動画は縦長の画面で収録されており、スマホを使って撮影したと見られます」

 戦況を示す動画や写真をSNSに投稿してほしいと、他ならぬウクライナ政府が市民に呼びかけている。

 アメリカのワシントンポスト(電子版)は2月25日、「ウクライナで国防省が国民に武装を呼びかけ、国民はGoogleで『火炎瓶の作り方』を検索」の記事を配信した(註1)。

 記事のタイトル通り、ウクライナ政府が国民に徹底抗戦を求め、呼応した国民が火焔瓶の作り方をネットで検索しているという内容だ。

 これだけでも「戦争とネット」という観点から興味深いが、朝日新聞デジタルは2月26日、ウクライナ政府が国民にTwitterなどのSNSを活用し、ロシア軍の動きについて情報提供を求めたとの記事を配信した。

ネット戦争

 同紙の記事「『火炎瓶 作り方』ウクライナで検索回数急増 当局が市民に呼びかけ」は、基本的には先に触れたワシントンポストの報道を紹介する内容だ。

 その上で《ウクライナは25日、ツイッターに「ロシア軍の動きを我々に教えてほしい。火炎瓶を作って敵を無力化してほしい」と投稿》したと伝えた。

 この戦争は「ウクライナ侵攻」や「ウクライナ紛争」などと呼ばれているが、「インターネットの実力を見せつけた戦争」として専門家は注目しているという。自衛隊の関係者が匿名を条件に取材に応じた。

「各国の軍関係者だけでなく諜報機関も、ウクライナ市民がTwitterやTikTokに投稿する動画や画像をチェックし、ロシア軍の動向を把握しています。誤解を恐れずに言えば、専門家の誰もが興奮しています。かつての戦争ならスパイが必死になって集めた情報が、今や自宅でスマートフォンを使って入手できるのです。諜報の専門家は『インターネットの発達により戦争の実相が変わる』と考えています」

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