コロナ第6波の切り札は「国産飲み薬」 塩野義製薬はすでに年内に100万人分を準備

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塩野義の「飲み薬」への期待

 政府は米ファイザーの飲み薬についても10日に承認する。同社から200万人分の供給を受けることになっており、まず最初に約4万人分が納入される見込みだ。

 だが世界中から注文が殺到する状況で予定通り確保できるという保証はない。

 飲み薬については塩野義製薬も最終段階の治験を実施している。

 昨年末は国内の新型コロナの感染者が激減したことで治験が思うように進んでいなかったが、オミクロン株の感染拡大が追い風となり、治験のスピードが上がっている。

 塩野義は1月31日、開発中の飲み薬について「(医薬品の審査を担う)医薬品医療機器総合機構に体内のウイルス量を下げる効果を示す治験データを提出した」と発表した。

 既に処方されているメルクの飲み薬は重症化リスクがある患者に限られるが、塩野義が開発中の飲み薬は12歳以上であれば重症化リスクのあるなしに関係なく処方できるという。治験のデータのほとんどが日本人であり、ファイザーと同じタイプの薬であることから、承認期間が大幅に短縮されるとの期待がある。岸田首相は2日の予算委員会で塩野義の飲み薬の早期承認を目指す考えを明らかにした。

 塩野義は早期承認を見込んで既に生産を開始しており、年度内に100万人分を供給できるとしている。そうなれば、診療所で高齢者などに幅広く飲み薬を処方することができ、重症化を大幅に減らせる。医療体制の負荷は格段に軽くなるだろう。

 国産飲み薬の処方を早期に実現することで高齢者などの重症化を抑制することができれば、「第6波」を早期に乗り切ることができるのではないだろうか。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部

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