春の選抜大会 関東・東京地区の6校目は東海大相模か二松学舎大付か マニアが注目するウラ事情

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「エースに頼りすぎ」というけれど…

 ここまで見ると“神奈川枠”というより“横浜枠”と言えそうだが、関東・東京で6校を選ぶようになった03年には、関東5校目の桐蔭学園が、すでに横浜が選ばれていたにも関わらず、修徳との争いに競り勝っている。05年にも関東5校目の慶応が帝京よりも上とされた。このときの慶応は関東大会準々決勝で引き分け再試合のすえ敗れ去っているが、その再試合で0-6の完敗を喫している点は、どうやら考慮されなかったらしい。関東5番目に選ばれれば強い“神奈川枠”なのである。

 一方、東京大会で接戦負けの二松学舎大付は本当に不運だったのか。まずは14年の選抜の選考である。このときは横浜との戦力比較になるかと思われた。だが、それより先に都立小山台が関東・東京地区の21世紀枠で選ばれていたため、同一都道府県からは選ばない“3校ルール”により、1点差どころか延長サヨナラ負けにも関わらず落選してしまう(のちに滋賀県から21世紀枠含む3校が選ばれてはいる)。

 逆に選抜された15年は東京大会6試合を投げ抜いた2年生の左腕エース・大江竜聖(現・読売)の好投が評価され、関東5枠目の東海大甲府になんとか競り勝って当選した。

 問題はその翌年だ。詰めの甘さから終盤に逆転されての1点差準優勝に終わったものの、東京2枠目を獲得。最後は左腕の好投手・高橋昴(現・広島東洋)を擁する花咲徳栄(埼玉)との戦力比較となったが、それなら二松学舎にも、昨年からのエース・大江がいた。しかも大江は大会を通じて延長戦含む5試合を1人で投げ抜いた実績もある。しかし結果は落選。その理由が「エース・大江に頼りすぎている」というものだった。前年の評価とは真逆の理由で、唖然とするしかない。

 頼りすぎていると評された大江の起用法について言えば、このときは2回戦が10月12日で決勝戦が11月9日と比較的試合間隔が空いていた。タイトなのは準決勝と決勝の間くらいで、負けたら終わる以上、エースを使うのは当然である。さらに付け加えると2回戦で早稲田実、3回戦で日大三と対戦する“死のゾーン”だった。これで控え投手に投げさせる監督はいないはず。エースに頼りすぎているから落選とは、あまりにブレた視点と言わざるをえない。ちなみにリベンジを誓った夏の東東京大会でも準決勝で東亜学園の前に6-7と1点差の惜敗。相変わらずの“勝負弱さ”を露呈してしまっている。

 今年の関東・東京の6校目は東海大相模なのか、それとも二松学舎大付か。負けた際の試合内容なら木更津総合(千葉)に1-4であっさりと敗北した感がある東海大相模よりも、熱戦のすえに逆転サヨナラを喫した二松学舎の方が上か。関東5校目に残ると強い神奈川勢と、ここぞの勝負に弱い二松学舎。“神奈川枠”発動で二松学舎大付は落選してしまうのか。注目の結果は果たしてどうなる?

上杉純也

デイリー新潮編集部

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