重症化率、経口薬の確保数、病床の余裕は? オミクロン株の疑問を専門家が徹底解説

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3回目のワクチン接種が喫緊の課題

『誰も書けない「コロナ対策」のA級戦犯』の著書がある、元厚労省技官の医師、木村盛世氏も述べる。

「まん防や緊急事態宣言を求める声がありますが、まったく歯が立たないと思います。すでに感染は市中で広がり、ある程度感染者が出れば波は収まります。第1波では緊急事態宣言が出る前に人流も感染者数も減っていたし、第2波では宣言が出ても人流は減らず、しかし感染者数は減っていった。経済や文化的生活を犠牲にしてまで、こういうものを出しても無駄です」

 世界一厳しい水際対策を行いながら、米兵は基地から検査なしに入国し、マスクをせず市中を徘徊していた事実一つとっても、政府の対策はチグハグにすぎる。水際対策は特別に強化せずとも、もっと早く米兵に検査とマスク着用を促すだけでも、感染の急拡大は防げただろう。水谷教授は、

「医療従事者の感染拡大が大都市圏でも起きれば、病床は余っていても病院が機能不全に陥りかねない。医療従事者や高齢者への3回目のワクチン接種を前倒しで進めることこそ、政府に求められている喫緊の課題だと思います」

 と提言する。オミクロンにはワクチンの効果が薄いと懸念する声もあるが、イギリスの報告によれば、

「オミクロン株へのワクチンの効果は、3回目を打てば発症予防に70~75%、重症化予防には85%と、十分に発揮されることがわかっています」

 と、松井准教授。政府は必要な対策をとれるか。その間、われわれは一人一人が意識を高め、できるだけ感染を防ごうではないか。

週刊新潮 2022年1月20日号掲載

特集「『重症化しない』は高齢者・持病もちにも言えるのか 正しく警戒『オミクロン』対処法」より

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