システム障害8回「みずほ銀行」がグダグダすぎてメガバンクから脱落する日

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新生銀行との統合構想

 M&Aを手掛ける外資系投資銀行の金融担当者は、「今年が正念場」と話す。

「みずほの収益性やシステムの安定性は他の2メガバンクと比べて明らかに見劣りしています。システム障害が発生する前から『あと10年もしたら、みずほは3メガバンクから脱落する』と言われていましたが、昨年のシステム障害によって、脱落する時期が早まることになるでしょう。

 実際、金融機関の間では、みずほのシステム障害が再び問題になった昨夏、法人部門(旧みずほコーポレート銀行部門)と個人顧客部門を分離させ、前者の法人部門を新生銀行に、個人顧客部門をりそな銀行にそれぞれ統合させる案が取り沙汰されていました。『金融庁も黙認した』と報道する夕刊紙やネットメディアも現れ、根も葉もない話ではないなと思っていたんです」

 こうした「新生銀行とみずほ銀行の統合構想」をめぐる憶測は、新たな金融の中核を目指すSBIホールディングスが昨年9月、新生銀行の事実上の買収に名乗りを上げたことで「絵に描いた餅」となった。だが、あるメガバンクの関係者は「何らかの検討がされていたことは間違いない」と語る。

 ただ、M&A関係者らがどれほどみずほ再編を仕掛けようとも、実はFGの業績は他のメガバンクグループと大きな差が生じていない。新型コロナウイルス感染拡大で中小企業の業績悪化が見込まれたため、政府は無利子・無担保融資による財政支援を実施した。それが結果的にメガバンクなどの「融資焦げ付き」に備えて準備しておく引当金を減らしており、みずほFGの決算でもその効果が出ているからだ。

未だに出身銀行意識

 このことがみずほの緊張感をそいでいるのは間違いない。同行の中堅職員はため息をつく。

「21年4~9月期の連結業績が他のメガバンク同様に堅調だったことで、経営陣や行内には一種の安心感が生まれてしまいました。真剣に改革に向けた経営トップを選ばないといけないのに、未だに役員や幹部は派閥争いを繰り広げています。第一勧業、富士、日本興業の3行が統合してから、20年近くが経つのに、派閥の根底には未だに出身銀行意識があり、『あの役員は興銀、あの幹部は第一勧業』といった色分けが出世や人間関係に色濃く影響しているのです」

 一方、金融界ではインターネットサービスの発展や地域経済の疲弊、日銀の超低金利政策によって地方銀行を中心に事業モデルの見直しが迫られつつある。

「SBIが昨年末に新生銀行を事実上傘下に収め、動きを活性化させています。みずほと違って金融システムの構築、投資商品の開発にも力を入れており、2030年代にはみずほに取って代わるメガバンクのような存在になるのではと言われています」(メガバンク幹部)

 昨夏に取り沙汰された「みずほ分割案」は幻に終わったとはいえ、みずほ銀行のガバナンスが改善しなければ、別の形でのみずほ再編、分割の話が盛り上がる可能性は高い。

「新興勢力が競争力を増し、ゲームのルールを変えようとしています。みずほ、FGが自主的に動き、ガバナンスを改善していけなければ、3メガバンクから脱落してもおかしくはないでしょう」(金融庁関係者)

デイリー新潮編集部

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